SDGs投稿記事No. 384

ASTRA FOOD PLANの共同プロジェクト。吉野家の玉ねぎ端材から生まれた”玉ねぎパウダー”を使用しオニオンブレッドをポンパドウルが開発。

この記事はPR TIMESのプレスリリースを引用しています。お問い合わせ・詳細は下記リンク先へ
 
「サスティナブルな社会の実現」をミッションに掲げるフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN 株式会社(埼玉県富士見市、代表取締役社長:加納 千裕 以下ASTRA FOOD PLAN )は、株式会社𠮷野家ホールディングス(東京都中央区、代表取締役社長:河村泰貴 以下𠮷野家)と、株式会社ポンパドウル(神奈川県横浜市、代表取締役社長:三藤貴史 以下ポンパドウル)との共同プロジェクトとして開発されたオニオンブレッドが、2023年2月2日より全国のポンパドウル26店舗および通信販売にて発売開始することをお知らせします。
本製品は、𠮷野家の野菜加工工場で発生する牛丼用玉ねぎの端材を、当社が提供する食品の乾燥・殺菌装置『過熱蒸煎機』で粉末化し、ポンパドウルのパン生地に練り込んだ新商品です。2022年2月より開発と実証実験を開始した当プロジェクトは、 “かくれフードロス”となっている未利用資源を『過熱蒸煎機』によって食品原料にアップサイクルし、製品に使用されて発売される初の事例となります。

※「過熱蒸煎」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第6534112号 

  • 𠮷野家で発生する牛丼用玉ねぎの端材から生まれた「玉ねぎパウダー」を、ポンパドウルがオニオンブレッドとしてアップサイクル

𠮷野家の野菜加工工場では、牛丼用の玉ねぎをスライス加工して各店舗に配送しています。剥き玉ねぎを機械にかけて芯をくり抜き、スライスする工程で、牛丼用玉ねぎとして規格に合わない端材が発生し、廃棄されていました。その量は多い時で一日500㎏程度になります。
𠮷野家では、これまで工場で発生するキャベツや白菜の端材は動物用の飼料として動物園等に寄付するなどして、廃棄量を減らすための努力をしてきました。しかし、玉ねぎに含まれる成分には、人間以外の動物にとって中毒症状を起こす場合もあり、飼料としての活用ができず、堆肥化や全量廃棄せざるを得ませんでした。
玉ねぎの端材は、牛丼の規格に合わないだけで、本来美味しく食べられる部分も多いため、𠮷野家ではかねてより有効利用を模索していました。

その中で、当社が開発提供する乾燥・殺菌装置『過熱蒸煎機』による玉ねぎ端材の粉末化・アップサイクルを行うプロジェクトが2022年2月よりスタートしました。『過熱蒸煎機』によって粉末化した玉ねぎは、非常に香り高く、甘み、うまみのある仕上がりとなりました。芯の部分と可食部は見た目にも食感的にも遜色ない状態になっており、常温で1年の保存が可能になりました。

この試作結果を踏まえてASTRA FOOD PLANは、過熱蒸煎した玉ねぎパウダーを製パン用の原料としてベーカリーチェーンを展開するポンパドウルに提案し、製品化を依頼しました。その結果、高い評価を得て採用に至り、玉ねぎパウダーを使用した4種のオニオンブレッドの発売が決定しました。

  • 玉ねぎパウダーの香り高い風味を活かした4種のオニオンブレッドが、ポンパドウル26店舗および通信販売にて2月2日より新発売

ポンパドウルは、玉ねぎパウダーを使用した4種のオニオンブレッドを2023年2月2日に26店舗で発売、通信販売でも同日に発売開始します。
過熱蒸煎パウダーの特徴である、高い風味や栄養価を両立した玉ねぎパウダーが、ポンパドウルが誇る職人技によって生地に練り込まれ、焼き上げることで非常に香り高い仕上がりになっています。

 ▽店舗販売商品
・ダブルオニオンピザ    ホールサイズ2,419円、1/8サイズ 302円
・玉ねぎパン        1個 140円、3個421円
・ダブルオニオンブレッド  1本 885円、1/2サイズ 442円
・ミニオニオンブレッド   1個 216円

 ▽取扱店舗
元町本店、藤沢店、そごう横浜店、厚木店、相模大野店、溝口店、綱島店、ダイヤキッチン店、ジョイナス1F店、武蔵小杉店、名古屋店、岡山店、小倉店、熊本店、小田急新宿店、六本木店、町田店、蒲田店、池袋ISP店、東武池袋店、赤羽店、調布店、北千住店、新越谷店、千葉店、船橋店

▽通信販売
・ダブルオニオンピザ    1/8 サイズ 324円
・玉ねぎパン        1個 162円
・ダブルオニオンブレッド    1本 918円
・ミニオニオンブレッド   1個 237円
通信販売サイト https://www.pompadour.co.jp/eshop/

  • 高い殺菌力、高栄養価、風味の良さの両立を実証。特徴を活かした新製品の開発も提案

玉ねぎの過熱蒸煎テストを繰り返す中で、微生物検査と栄養分析を実施したところ、『過熱蒸煎機』は「殺菌」と「高栄養価」の両方を実現できることが明らかになりました。
過熱蒸煎することで食品レベルの菌数に制御することができ、また玉ねぎの血液サラサラ効果で知られる機能性成分の「ケルセチン」が損なわれずに保持されていることがわかりました。
一般的に、野菜等の端材は切り口から雑菌が繁殖しやすく、菌数が高いため、食品に加工する際のネックとなります。従来の殺菌機能のない乾燥装置では、乾燥装置にかける前に蒸す、または茹でる等の加熱処理を行うか、乾燥したあとに粉体殺菌装置にかけるかのいずれかの工程が必要になります。

工程が増えると製造コストが高くなり、さらに乾燥と殺菌とで2回にわたって加熱することで風味や栄養価も落ちてしまいます。

『過熱蒸煎機』では、400℃前後の高温スチームを用いて殺菌と乾燥を同時に行うことができるため、高いコストパフォーマンスと品質を両立することができます。
こうした特徴を活かし、玉ねぎパウダーのさらなる用途開発に向け、𠮷野家の独自製品として牛丼やカレーにトッピングして玉ねぎの風味が引き立つ「玉ねぎふりかけ」の開発を提案し、次なるプロジェクトとして試作が行われています。

  • 過熱蒸煎パウダーの製品競争力アップには輸送コストの削減がカギ

今回の取り組みは、かねてより当社が目指していた過熱蒸煎パウダーの用途開発および最終製品化が実現した初の事例になります。複数社が協力することで、既存のサプライチェーンの形を壊さずに業界全体として”かくれフードロス問題”を解決する第一歩です。
ところが、最終製品化にあたり課題となるのは、過熱蒸煎パウダーの受託生産において発生する輸送コストです。今回の玉ねぎパウダーによるオニオンブレッドの製品化にあたっても、𠮷野家で発生した玉ねぎの端材は当社ラボの『過熱蒸煎機』で粉末化を行う形で実証実験を行いましたが、食品端材の傷みやすさゆえに冷蔵または冷凍輸送を行う必要があり、原価率に占める輸送コストの割合も高くなってしまいました。高い殺菌力、高栄養価、風味の良さ、そしてSDGsへの貢献という高付加価値化は実現しているものの、食品粉末の市場的側面としては、主に海外製の非常に安価な製品も多く、昨今の原価率高騰の食品市場においては過熱蒸煎パウダーの価格競争力も高めていく必要もあります。そのために必要な仕組みとしては、”かくれフードロス”が発生するメーカーや生産者自身に『過熱蒸煎機』を導入していただき、輸送コストを抑えなければなりません。当社としては、この仕組みの構築に向け、メーカーや生産者側で導入・生産した過熱蒸煎パウダーの全量買取りを行うビジネスモデルも今後提案してまいります。当社が強みとする過熱蒸煎パウダーの用途開発、および全国の食品メーカーとのネットワークを活かし、今回のような複数社での共同プロジェクトを引き続き推進してまいります。

  • 𠮷野家ホールディングス 執行役員 グループ商品本部 副本部長 素材開発部 部長 辻智子よりコメント

わたし達のような外食チェーンでは、お客様に提供する商品の品質を一定に保つために、使用する野菜などは規格サイズにカットして使用しなければならず、当然、どうしても当社の規格に合わない品質やサイズのものが出てきてしまいます。𠮷野家のメイン商品の牛丼に使用している玉ねぎも例外ではなく、当社工場でも1日当たりの玉ねぎ処理量の5%が芯を中心とした規格外として排出されます。しかし、それらは味・風味・栄養的価値において、利用部位と同等であり、SDGsやフードロスの低減という観点から、何とか高付加価値食品として有効活用が出来ないかと考えました。そのためには、含有する水分を、効率良く乾燥させる事が重要なポイントです。そんな折に過熱蒸煎機でアップサイクルを目指しているASTRA FOOD PLAN社に出会い、共同プロジェクトを推進することが出来ました。また、今回はポンパドウル様に興味を持っていただき、商品化して頂けるということで深く感謝しております。これをきっかけに、今後もチームとして一緒に取り組んでいきたいと思います。

  • ポンパドウル 取締役 製品開発部部長 松本郁広よりコメント

今回、過熱蒸煎玉ねぎパウダーを使用させて頂きました感想は、第一に玉ねぎのうまみと香りが凝縮されていて、とても美味しい製品だと感じました。
パン生地に少量添加するだけで玉ねぎのうまみと香りの広がる味わい深い生地を作り出せる事に驚きを覚えました。パウダーに水分を添加することで、パン生地に練り込み易く、作業性が良くなります。
今回試作させて頂いたパウダーを添加した生地と、パウダーを混ぜていない生地を比較したところ、製パン性にマイナスな影響を及ぼさず、生地の色彩も食欲をそそる製品だと感じています。
今後はタマネギだけでなく様々な野菜粉末を活用してパン作りに活かしていきたいと考えています。
近い将来、ベーカリーのロールモデルとして、かくれフードロスの削減・SDGsの推進に向け、ASTRA FOOD PLANと共同して弊社がその役割を担っていきたいと考えています。

  • ASTRA FOOD PLAN代表取締役 加納千裕よりコメント

遂に、夢に思い描いていた『過熱蒸煎機』による“かくれフードロス”削減のためのアップサイクルプロジェクトが現実のものとして形になりました。ご協力いただいた𠮷野家、ポンパドウルの皆様、弊社創業メンバーに対しては感謝の気持ちでいっぱいです。「社会課題は1社では解決できない。サプライチェーン全体で取り組むことで可能になる」と言い続けてきましたが、まさにそれを体現した事例となりました。
𠮷野家では食品端材の廃棄コストが減り、高付加価値化したパウダーの販売収入も得られ、ポンパドウルでは新商品がお客様に喜ばれることで、みんなwin-winです。これこそSDGs、サーキュラーエコノミーのあるべき姿であり、持続可能な社会課題の解決手段だと思っています。
当社が目指す形としては、高付加価値化した過熱蒸煎パウダーを限られた市場に向けて高単価で流通させるのではなく、約2,000万トンに及ぶ“かくれフードロス”を限りなくゼロに近づけるべく、過熱蒸煎パウダー活用の裾野を広げ流通量も最大化させていくべきと考えています。それに向けた新たなビジネスモデルの構築が次なる挑戦です。
最後に、ポンパドウルのオニオンブレッドは本当に素晴らしい商品に仕上がっています。はじめて試作品を口にしたとき、シンプルにめっちゃ美味しい!と思い、完成度の高さに驚きました。店舗ごとにオールスクラッチで作るポンパドウルの職人技はやはり素晴らしいと感動しました。ぜひ、多くの方に召し上がっていただき、お客様にも「楽しくSDGs」する仲間に加わってもらいたいと思います。

  • 代表経歴

加納千裕 <Chihiro Kano>

埼玉県出身。食品関係事業をする父と栄養士の母の影響で幼い頃から食に興味をもち、これまで一貫して食に関わるキャリアに携わる。女子栄養大学 栄養学部を卒業後、株式会社ロック・フィールドで製造・販売に従事。その後、株式会社榮太樓總本鋪で商品企画・新ブランド「にほんばしえいたろう」の立ち上げを担当し、150余年続く和菓子ブランドのリブランディングも経験。株式会社塚田農場プラスでは弁当の商品開発に従事。キャリアの過程では、父である加納勉が創業した会社において、過熱水蒸気によるピューレ製造技術を用いた商品開発から販売営業まで一貫して担い、過熱水蒸気オーブンの法人向け営業にも従事。同社退職後2020年8月、過熱水蒸気技術を用いた新事業としてASTRA FOOD PLANを設立。代表取締役社長に就任。

  • 『過熱蒸煎機』について

『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可
能な装置です。以下の3つの特徴により、野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能です。

1.食材の風味の劣化と酸化を防止
数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぎます。食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっています。
2.低コスト、高い生産効率を実現 
ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現。連続式で生産効率が高く、従来型乾燥技術のコストの課題をクリアしました。  
3.スピード殺菌乾燥 
過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5~10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できます。

  •  製品概要

製品名:過熱蒸煎機
発売日:2022年4月4日
※『過熱蒸煎機』カタログダウンロードはこちら
https://www.astra-fp.com/download/

  • ASTRA FOOD PLANについて

ASTRA FOOD PLANは、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置『過熱蒸煎機』(※特許出願中)を開発・販売しているフードテックベンチャーです。
『過熱蒸煎機』は、高い生産効率とコストパフォーマンスを実現したことから、従来コストの問題で有効活用できなかった野菜の芯や皮、ヘタをはじめとする食品ざんさ等を付加価値の高い食材にアップサイクルすることができます。
食品ざんさ廃棄の課題を抱える事業者に『過熱蒸煎機』を販売すると同時に、本装置で作られる新たな食品原料の用途開発を食品メーカーと協力して行うことで、フードロス問題の解決を目指しています。
https://www.astra-fp.com/

【会社概要】
会社名:ASTRA FOOD PLAN株式会社
URL:https://www.astra-fp.com/
本社所在地:埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26
代表取締役:加納千裕
設立:2020年8月

編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。

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