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傷ついた希少猛禽類を救いたい — 釧路湿原を拠点に活動する獣医師たち

北海道東部に広がる広大な釧路湿原。植物が約700種、鳥類と哺乳類を合わせて約240種という豊かな多様性を持つこの湿原では、古くから開発と並行する形で自然保護の取り組みも行われてきました。

湿地の保存に関する国際条約であるラムサール条約にも登録されており、環境保護の取り組みにおいては、しばしば象徴的に取り上げられる場所となっています。

この記事では、その釧路湿原で、主に希少猛禽類の保護に取り組んでいる「猛禽類医学研究所」をご紹介します。

 

こちらの猛禽類医学研究所では、獣医師が、車や列車との衝突、感電、発電用風車との衝突などの事故や、猟銃の弾に含まれる鉛が原因の鉛中毒で傷ついた猛禽類の治療・リハビリを行っています。

また、死亡した個体を回収し、詳しく調査することによって原因を究明し、同様の事故の再発防止策を講じる取り組みも行われています。

たとえば、オジロワシなどの大型の猛禽類が列車と衝突する事故の場合、その前にエゾシカなどの動物が列車と衝突して死亡し、線路脇によけられた死骸に猛禽類が集まってきてしまうことによって二次災害的に猛禽類と列車の衝突事故が発生するケースが多いそうです。

そこで、こちらの研究所では、環境省との協力の下、現在事故に遭った動物の死骸を猛禽類の目から隠すことができ、風が吹いても飛びにくいシートの開発・改良に取り組んでいるとのことです。

開発が進み、人と野生動物の距離が縮まると、たとえば住宅地にクマやイノシシが出没して人を脅かすといった事例が問題になる一方で、野生動物の側でも人為的な原因で命を落とす危険性が高まります

開発が進んだ現代において、残された自然を護り生物多様性を維持していくためには、人と野生動物とが共存できる環境を作ることが重要です。

最前線で、傷ついた猛禽類と向き合いながらそのような環境づくりに取り組んでいる猛禽類医学研究所。

クラウドファンディングやグッズ購入を通じてその取り組みを支援することができますので、興味のある方は以下のリンク先をぜひご覧ください。

猛禽類医学研究所HPhttp://www.irbj.net/index.html

備考:

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%A7%E8%B7%AF%E6%B9%BF%E5%8E%9F
http://www.irbj.net/index.html

 

 

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