フードファディズムが与える影響
みなさん、フードファディズムという言葉を聞いたことはありますか?
「faddism=流行かぶれ」と「food」を合わせたフードファディズムとは、科学が立証した事実と関係なく、特定の食品や栄養が健康に与える影響を、消費者は過大に評価したり、信じたりすることをいいます。
現代では、SNSメディアやインフルエンサーの発信力は強く、そこで広まった特定の食べ物ブームが定期的に起こるなど、このフードファディズムは社会的な影響力を持っています。
たとえば、
- メディアやSNSが発信した「◯◯食べるだけダイエット」というような情報を鵜呑みにし、その食品を過剰に買ったり摂ってしまう
- 「栄養素◯◯を抜くと健康に良い」といった情報を信じ、特定の栄養素を避けてバランスの偏った食事をしてしまう
記憶に新しいフードファディズムといえば、2020年に「納豆が新型コロナウイルス予防に効果がある」という情報がSNSなどで拡散され、納豆の買い占めが発生しました。
納豆はもちろん栄養価が高いですが、直接ウイルス感染の予防に役立つという根拠は全くありませんでした。
そして、当時消費者庁も科学的根拠は乏しいとしてこの効果を否定しましたが、スーパーなどでは品薄状態が続きました。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」の観点からみても、フードファディズムはマイナスの影響が強いです。
フードファディズムによって特定の商品が流行してしまうと、生産者に過度の負担を与えます。
メーカーは需要に応えようと商品を増産しますが、ブームというのは一時的なものです。
生産体制を整えても、数ヶ月後もしくは翌年には売上は大幅に減少し、メーカーや原料生産者の経営難につながってしまう可能性もあります。
さらには、食品ロスやそれに伴う環境負荷を引き起こすケースも大いにあります。
フードファディズムが原因で大量生産した商品が売れ残ると、それらは廃棄せざるを得ません。
そして廃棄焼却時には温室効果ガスが発生し、地球温暖化など環境に悪影響を及ぼします。
フードファディズムに踊らされないために、消費者一人ひとりが、過剰な広告やメディアの偏った情報を鵜呑みにせず、正しい情報を見きわめることが必要です。
情報源はどこなのか、何のために発信されているのか、情報の信頼性を確認して商品を購入しましょう。