SDGs特選コラムNo. 693

性の多様性とスポーツについて

現代において、もはや性別というのは『男性』『女性』という区切りではなく、さまざまな性のあり方が認められる社会になってきていることを実感している。

LGBTというワードが世間に広まり、性的マイノリティの存在が認められてきていることは喜ばしいことだ。

一方で、スポーツの世界(特に女子の競技)ではその性的マイノリティの人たちとの公平性の確保の面で課題を抱えているようだ。

この記事を読んで
『全ての人たちに平等にスポーツに参画する機会』
が担保される世の中になるためにはどうしていけばいいのかを一緒に考えるきっかけになれば幸いだ。

性的マイノリティ(LGBT)とは

すでにご存じの方の方が多いかと思うが、ここで性的マイノリティ(LGBT)について述べておきたい。

LGBTとは

  • L:レズビアン(Lesbian)・・・女性同性愛者
  • G:ゲイ(Gay)・・・男性同性愛者
  • B:バイセクシュアル(Bisexual)・・・両性愛者
  • T:トランスジェンダー(Transgender)・・・全性愛

の略称である。

上記分類で重要な考え方が

  • 性自認:自分が思っている自分の性別のこと
  • 性的指向:恋愛対象や性的な感情がどういった人に向いているか

の2つである。

例えば、性自認が男性で性的指向が男性に向いている場合は『G』の分類に入る可能性があるという考え方ができる。

しかし、実際は自身の性のあり方がわからない(Q:クエスチョニング)や前述のどの分類にも入らない(+:プラス)という人たちもいるようである。
このLGBTQ+は全人口の約8〜10%存在すると言われている。

そしてここからがこの記事の本題
『この8〜10%の人たちとスポーツの関係性』
について考えていきたい。

スポーツとLGBTについて

LGBT(Q+)とスポーツの関係において、特に焦点が当てられているのはトランスジェンダー(T)の人たちのようだ。

トランスジェンダーとは
『男性の体で生まれたが、女性だと認識している』
『女性の体で生まれたが、男性だと認識している』
つまり、前述した内容の『性自認』が不一致な状態の人たちのことである。

特に男性の体として生まれて成長期を過ごしてきた人(トランスジェンダー女性の人)は、パフォーマンスに影響を及ぼす筋肉の量や筋力、骨密度などの身体的な要素が女性とは異なる。

そのような課題に対応するため、トランスジェンダーの女性に対しては、これまで血中のテストステロン量(男性ホルモンの量)を図る検査が行われ、基準値以下であれば世界レベルの大会への参加が認められていた(他にも判断基準がある)。

しかし世界陸上連盟は2023年4月以降、トランスジェンダー女性のエリートレベルの一時的な参加禁止を発表した。

理由は『女性アスリートの公平性の維持』だと発表されている。

このように、科学が発展している現代においても、LGBTの人たちのスポーツ参画に関する課題は多い。

今後のスポーツと性の関係性

トップクラスの規模で考えると、トランスジェンダーの女性は女子のカテゴリーで競技を行うべきではないという声が多い。

その一方で、『全ての人が参画できる機会を提供するべき』という声もあることは事実だ。

確かに女性側の視点から考えると、科学的な検査手法が確立していたとしても男性として成長期を過ごし、フィジカル面で上回っている(または上回っている可能性のある)選手と対等に勝負をするとなるとフェアに感じない人もいるかもしれない。

今後のスポーツを包括的なものとしていくためには、このような性的マイノリティの人たちのことも考えた制度設計やルールの整備、科学的な検査の確立が急務だと思う。

SDGsの目標に掲げられた
『誰も置き去りにしない社会』
の実現に向けて、いち早くこの複雑な問題の解決策を提示してほしいと感じている。

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