イギリスの肥満率に学ぶ|心地よく健康に暮らす食と生活のヒント
イギリス在住のukihaddyです。
イギリスで暮らしていると、街の広告やファッションシーンでさまざまな体型のモデルが起用され、外見への差別をなくそうという「ボディポジティブ」の思想が自然と根付いていることに気づかされます。見た目を気にしすぎず、自分らしさを大切にできる空気感はとても素敵です。
しかし一方で、医療やウェルビーイングの視点から見ると、イギリスでは「肥満」が長年にわたる深刻な健康課題として議論されています。今回は、イギリスの現状や現地での工夫に触れながら、私たちが心地よく健やかに暮らすためのヒントについて考えてみたいと思います。
イギリス 肥満率から考える健康な暮らし
成人の約3割が直面する現状
イギリスでは成人の肥満率が高い水準にあり、国の重要なヘルスケア課題となっています。
英国国民保健サービス(NHS)の公表データによると、成人の約30%が肥満(BMI 30以上)に該当し、過体重を含めると成人の6割以上を占めています。世界的に見ても高い数値であり、心血管疾患や糖尿病などの生活習慣病予防に向けた取り組みが急務とされています。
日本との違いと食文化の背景
経済協力開発機構(OECD)加盟国のデータを見ても、イギリスは先進国の中で肥満率が常に上位グループにある一方、日本は加盟国の中で最も低い水準を保ち続けています。
この差の背景には、日々の食習慣と生活環境の違いがあります。日本では「一汁三菜」に代表される素材本来の味を活かした食事や、電車・徒歩移動による日常的な活動量が自然と体を支えています。一方のイギリスでは、手軽なオーブン料理やテイクアウトが根付いており、多忙な暮らしの中で脂質や糖分が過剰になりやすい環境があります。どちらが良い・悪いという話ではなく、毎日の食の選択肢や街の構造そのものが、体型や健康状態の差として表れているといえます。
国と街が進める肥満対策の取り組み
信号カラーで選ぶ栄養成分表示
イギリスでは、消費者が無理なく健康的な選択を行えるよう、食品パッケージに「トラフィックライト・ラベル(信号機ラベル)」が定着しています。
これは、エネルギー・脂肪・飽和脂肪酸・糖分・塩分の含有量を「赤(高)・黄(中)・緑(低)」の3色で直感的に示したものです。パッケージを見るだけで栄養のバランスが一目で把握でき、棚の前で迷うことなく健やかな食品を選べる工夫が凝らされています(実際の表示イメージや色の基準は英国NHSの食品ラベル解説などで図解されています)。
健康志向を支える食品業界の工夫
行政の施策だけでなく、現地の食品メーカーやスーパーマーケットも積極的に変化を進めています。
2018年に導入された清涼飲料水への課税(砂糖税)をきっかけに、メーカー側がレシピの改良を行い、製品中の砂糖含有量を大幅に削減しました。また、店舗のレジ横から高カロリー菓子を減らし、ヘルシーな軽食やオーガニック食品を手に取りやすい位置に配置するなど、街全体で健やかな選択を後押しする仕組みづくりが進んでいます。
無理なく続ける毎日のセルフケア
旬の食材を楽しむバランスごはん
健康な体づくりは、過度な我慢や制限をするのではなく「心地よく続けられる工夫」から始まります。
イギリスでも、現地のファーマーズマーケットを訪れれば、季節ごとの新鮮な野菜や果物が豊富に手に入ります。加工度の高い食品を少し減らし、素材本来の味わいを楽しむシンプルな調理を意識するだけでも、体と心に優しい食卓が整います。
散歩から始める心地よい運動習慣
日々の暮らしに手軽なアクティビティを取り入れることも大切です。
イギリスには街の至る所に豊かな公園や遊歩道が整備されており、多くの人がウォーキングやランニングを楽しんでいます。ジムで激しいトレーニングを行わなくても、日常の中で少し歩く時間を増やしたり、深呼吸しながら緑の中を散歩したりするだけで、十分なリフレッシュと健康維持につながります。
イギリスの肥満率に関するQ&A
Q1:イギリスでは体型をポジティブに捉える文化(ボディーポジティブ)と肥満対策は矛盾しませんか?
A. 外見による差別をなくし多様性を認める「ボディーポジティブ」の思想を尊重しつつ、生活習慣病や心血管疾患といった医療上の実質的リスクに対しては予防医療として対策を進めるという、見た目と健康管理を切り分けたバランスあるアプローチが取られています。
Q2:イギリス政府が導入した「砂糖税(ソフトドリンク課税)」にはどんな効果がありましたか?
A. 2018年に清涼飲料水を対象に導入された課税により、多くの飲料メーカーがレシピを改良して砂糖含有量を大幅に削減しました。消費者の大幅な買い控えを起こすことなく、日常的な糖分摂取量を自然と引き下げる成果を上げています。
Q3:日本人がイギリスの食生活で意識すべき注意点はありますか?
A. 手軽な冷凍食品やテイクアウト(フィッシュ&チップスやパイなど)は脂質や塩分が多くなりがちです。地元のファーマーズマーケットで新鮮な旬の野菜を取り入れたり、素材の味を活かした自炊をベースにしたりすることで、無理なく健康を維持しやすくなります。
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2026年10月 加筆修正










