社会課題No. 755

BSIとWaterwiseの調査が明らかにする水セキュリティの現状と課題

英国規格協会(BSI)とWaterwiseによる最新の国際調査「2024 Water Security Indicator」では、世界的な水セキュリティの進展が限定的であることが示されました。対象となった9ヵ国(中国、インド、日本、アメリカ、イギリスなど)の調査では、水セキュリティに関する課題が特に深刻である国々で、課題の解決に向けた進展が十分でないことが明らかになっている。

また、31ヵ国で水セキュリティの改善が見られず、一般市民の理解と具体的な行動の間に大きな乖離があることが判明。
この調査によれば、回答者の60%が水セキュリティを重要な課題として認識しているにもかかわらず、気候変動への取り組みと同様の重要性があると回答した人は45%にとどまっている。

さらに、世界的に見ても、水セキュリティが政治家やメディアによって定期的に議論されていると感じる人はわずか15%。これにより、課題の深刻さに対する認識と、実際の行動への移行の間には大きなギャップが存在していることを示している。
また、報告書では、年間の水使用量が1900年から2024年の間に約3兆5000億立方メートル増加したことが記されており、
これは、気候変動による影響でさらに悪化する可能性がある。
具体的には、1秒あたり895立方メートルもの水が消費されている計算となり、オリンピックサイズのプールが約2.79秒ごとに満たされるほどの量に匹敵。

これに加え、2024年の水需要は年間約1%の割合で増加すると予測されており、
1秒あたり1268立方メートルの増加が見込まれている。
調査の中で、中国、インド、米国は水セキュリティの課題が最大であるにもかかわらず、解決に向けた進展が限定的であることが分かっている。
一方で、自国の淡水供給に対して自信を持つ人々の割合は高く、中国では85%、オーストラリアでは82%、米国では73%。この認識と現実とのギャップが、効果的な課題解決を阻む要因の一つといえる。

一部の国では水セキュリティの状況が悪化しており、特にスペインでは課題スコアが5ポイント上昇。
この背景には、淡水の利用効率の低下や干ばつによる影響が挙げられ、2024年には干ばつ非常事態が宣言され、国内での水供給への不安が急速に拡大している。
BSIは、水セキュリティへの認識を高めるための行動指針を提示。
これには、政策立案者やメディアとの連携を通じて議論を促進することや、水効率ラベルの導入によって消費者が持続可能な選択を行うことを促進する方法が示される。

実際に、調査対象者の73%が水効率ラベルの導入を支持しており、
68%が水効率の高い製品に対してより多くの費用を払う意欲を示す。
BSIのCEOであるSusan Taylor Martin氏は、「水セキュリティの課題を解決するためには、理解と行動が鍵となる」と強調。
さらに、WaterwiseのCEOであるNicci Russell氏も、「家庭や職場での効率的な水利用が、課題解決に向けた第一
歩である」と述べている。

自国の水セキュリティレベルについての理解については、最も自信を持っていないのは英国人(21%)と日本人(15%)。自国の水セキュリティを確保するためのインフラに自信を持てない人が4分の1を占め、このインフラについても自信を持っていないのは英国(32%)と日本(44%)となっている。これは、政治やメディアの注目が十分でないことが影響している可能性がある。

この調査結果は、水問題への取り組みが緊急であることを示唆しており、
個人、組織、社会全体が力を合わせて解決に向けた行動を開始することが求められている。
BSIとWaterwiseの取り組みは、持続可能な未来に向けた水問題解決の方向性を示す重要な指針となる。

この記事は
2024年10月3日(英国時間)に 英国で配信されたプレスリリースの抄訳版をもとに作成。

参照:@Press
https://www.atpress.ne.jp/news/415277

■BSI(英国規格協会)とBSIグループジャパン

URL: https://www.bsigroup.com/ja-JP/

 
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編集部

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