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ブームで終わらない。コオロギが”サーキュラーフード”として注目される理由

店頭で目にする機会が増えた「昆虫食」。無印良品が販売した「コオロギせんべい」を皮切りに、コオロギ醤油やコオロギ玄米グラノーラなど昆虫食ブームが起きています。

一方、消費者であるわたし達は「コオロギの何がすごいの?」「イナゴよりコオロギなのはなぜ?」と疑問だらけではないでしょうか。本記事を通して、サスティナブルな食のあり方や昆虫食のポテンシャルを模索しましょう。

 

コオロギがサーキュラーフードとして優れる理由

日本でも、長野県ではイナゴや蜂の子、カイコなど昆虫食文化は現存しています。しかし、なぜコオロギなのでしょう。

コオロギには「育てやすい」「風味や味をデザインしやすい」といった、他の昆虫にはないユニークな優位性があります。環境やエネルギーなど、SDGs観点からも、コオロギの特性は非常に理に叶うもの。ここでは、3つのポイントに着目します。

※追記(2023年3月)
一方で、2018年には内閣府がコオロギ食について注意喚起していたこともあり、
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05010960149

(食品安全委員会/
欧州食品安全機関(EFSA)、新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)についてリスクプロファイルを公表)
安全性について疑問視する声もあります。
コオロギ粉末給食を出した学校には苦情が寄せられており、情報精査の必要性があります。

①飼料効率がよい

牛1頭を育てる場合に必要な餌は約10 kg。一方で、コオロギ1kgを育てるのに必要な餌は約1.7kgと約1/5と高効率。放牧用の水も不要で、飲む分だけで済むので環境負荷も少ない。さらには、世界で課題となっているフードロスを飼料化できるなど、循環型食料としての高い可能性を秘めています。

②可食部が多く、ムダがない

コオロギは可食部が多い、高エネルギー効率のたんぱく源です主要畜産物の牛や豚、鶏の可食部率が約45%にとどまるのに対して、コオロギは約100%。乾燥させて粉末化すれば、運搬コストやエネルギーも節約でき、輸送メリットも極めて大きいと言えます。

③温室効果ガスの排出が少ない

世界全体のCO2排出量のうち、農業は約20%を占める環境負荷の高いセクターです。中でも、世界に10億頭いる酪農用の牛からは、おならやゲップを通じて、CO2換算で約20億トンもの温室効果ガスが排出されています。体重当たりの温室効果ガス排出量をみると、牛1頭2,800gに対して、コオロギ1匹100gと環境負荷の低さが際立ちます。※2

こうした研究報告から、サスティナブルで環境負荷の少ないたんぱく源として、食用コオロギの需要が高まりつつあります。

 

世界の昆虫食市場=2025年に1,000億円規模へ

日本能率協会総合研究所※1によると、2025年まで世界の昆虫食市場は1,000億円規模に到達する見込みに。ミール用昆虫の養殖に踏み出す企業も増え、価格競争が激化するなどマーケット拡大が予想されます。

昆虫食ニーズが高まる背景には、差し迫る食糧問題があります。2025年までに100億人に達し、急激な人口増加に食料供給が追いつかず、栄養不足になる人々が立ち現れる。その時に、昆虫をたんぱく源として活用できれば、食料危機を乗り越えられるといったシナリオです。

国際連合食糧農業機関(FAO)は2013年、将来的に昆虫が食料となりうる可能性を示唆。こうした機運の高まりを受け、環境意識の高いメーカーやベンチャー企業が昆虫を使った加工食品やレシピ開発に取り組んでいます。

食用昆虫の普及は、飢餓と食品ロスといった社会課題解決の糸口になるかもしれません。

 

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    Kazuki

    米国・ニューヨーク州在住の環境ライター/3児の母。好きなコトバは「人生は美しい。人生は甘美だ」(ブッダ)。知るために、書く。書いて、つながる。がモットーです。

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