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人類の避難先は「海に浮かぶシティ」。国連が計画する新構想

気候変動と海面上昇によって、世界中の沿岸地域が危機に晒されています。

国連によると、世界の人口の約40%が海岸から100 km以内に住んでおり、海面上昇が世界中のメガシティの90%を脅かすと伝えられています。

洪水によって、将来的には何百万人もの気候難民が避難を余儀なくされることが予測される一方、急速な都市人口の増加や居住地不足によって住宅コストは急騰している現状です。

そんな中、人類の避難先として注目されるのが「海に浮かぶ都市」です。

今回は国連が推し進める対応策のひとつ、「回復力のあるサスティナブルな浮遊都市構想」をご紹介します。

2025年までの完成を目指す韓国・釜山の海上都市「OCEANIX Busan

OCEANIX Busan」は、ニューヨークに拠点を置くブルーテック企業の「Oceanix」が開発に取り組む洪水防止パイロットプロジェクトです。

国連人間居住計画との提携により、何百万人もの人々に安全をもたらす目的で、韓国・釜山で設計が進められています。

水に優しいコンクリート基盤で建設された海上都市は、合計6.3ヘクタールの敷地面積、12,000人の居住者と訪問者を収容できる「居住区」「海洋研究」「宿泊施設」3つのプラットフォームから構成される設計です。

「ネットゼロ・エネルギー」「最新の水循環システム」「植物由来の食料生産」「廃棄物のゼロウェイストシステム」「シェア型モビリティ(EV車や自転車等)」「海洋生態系の再生」と6つのシステムを、効率的に自律機能させています。

この海上都市では、フローティングおよび屋上太陽光発電パネルを介して、各プラットフォームで必要なエネルギーを100%生産できるのでCO2排出の削減にも貢献できる仕組みです。

海水のイオンを電気的に析出させて人工岩を形成するバイオロック技術、海洋の生物多様性に配慮した3D海洋農業の使用にも取り組むなど、最先端のテクノロジーを持続可能な都市づくりに応用しているのも特徴と言えます。

当プロジェクトのような、自然環境との共生のあり方や持続可能な解決策となる海上都市の存在に、今後ますます注目が集まることでしょう。

Kazuki

米国・ニューヨーク州在住の環境ライター/3児の母。好きなコトバは「人生は美しい。人生は甘美だ」(ブッダ)。知るために、書く。書いて、つながる。がモットーです。

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