人間コンポストって?海外の持続可能なグリーン葬を紹介
家庭や飲食店から出る生ごみを土と混ぜて発酵を促し、堆肥化する「コンポスト」。
スペースの狭い台所やベランダで手軽に取り組める家庭用キットも登場していますね。
身近になってきたコンポストですが、現在海外では亡くなった人の遺体のコンポスト化を合法とする国や地域が増えているんです。
今回は、すでに3州で人間コンポストを合法化しているアメリカの事例を紹介します。
環境負荷の少ないグリーン葬儀の台頭
日本では火葬が一般的ですが、アメリカではキリスト教の死生観として土葬が慣習でした。
しかし、1875年頃にワシントン州で最初の火葬が実施されて以来、現在では火葬率が土葬率を上回る形に。
将来的に火葬率は、2019年の約54%から2040年には約78%に推移する見込みです。
こうした中、懸念されるのが遺体の焼却時に発生するCO2。1回の火葬で約267kgもの二酸化炭素を排出し、環境負荷をかけると言われます。
より環境に優しい持続可能な葬儀方法として注目されるのが、亡骸を土に還す“グリーン葬”、すなわち人間の堆肥化です。
約60日間のプロセスをともなう人間コンポスト
人間の堆肥を作るために、遺体にわらやおがくずといった発酵を促す材料を密閉コンテナーに入れます。
その後、空調システムへと接続し、無機物と内容物を選別しながら分解を進めます。
60日かけて遺体がコンポスト化されると、その堆肥は家族の元へ返却されるシステムです。
依頼する施設にもよりますが、家族は全ての堆肥を受け取るか、もしくは地域の植物のために寄付するかのいずれかを選択をすることが可能となっています。
ワシントン州で同サービスを提供するReturnHome™では、遺体の施設搬送や死亡書類の準備などを含めて約63万円の標準価格でパッケージを提供しています。
米国内ではワシントン州、オレゴン州、コロラド州ですでに人間コンポストは合法化されており、先日ニューヨーク州でも同内容の合法化を求める法案が提出されました。
今後も米国やヨーロッパ各国で、人生を全うし終えた後は「自然に還る」というオプションが極めて一般的になっていくものと予想されます。
「人生の最期こそ、自分らしく死と向き合いたい」「持続可能な葬儀を身近に」というニーズは、国境や宗教を超えて今後も高まることでしょう。
※参考