パタゴニアのSDGs|服を直して長く着る循環型アウトドアの魅力
パタゴニアと聞くと、本格的なアウトドアブランドのイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、パタゴニアはただウェアやギアを販売する企業ではありません。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という明確なパーパスを掲げ、2022年にはすべての株式を地球環境を守る信託や非営利団体へ譲渡。「地球が唯一の株主」として、得られた利益を気候危機への対策に還元する事業を展開しています。
本記事では、SDGs(持続可能な開発目標)の先駆者として世界をリードするパタゴニアの先進的な取り組みと、私たちが日常で取り入れられる心地よいエシカルな選択について紹介します。
パタゴニアのSDGsとは?取り組みと理念
地球を救うためのビジネスモデル
通常の企業は売上や利益の最大化を目指しますが、パタゴニアの最大の目的は「地球環境の再生」です。1985年から売上の1%を草の根の自然保護団体へ寄付し続ける「1% for the Planet」の共同設立をはじめ、40年以上にわたり森林や野生生物の生息地を守る活動を支援。さらに、2022年にはすべての株式を環境保護信託へ譲渡したほか、サプライチェーンの透明化と公正な賃金を保証する「フェアトレード認証」を導入するなど、地球と働く人々の人権と尊厳を守る仕組みを徹底しています。
化学繊維を再生するリサイクル素材の活用
フリースやシェルジャケットなどに使われる化学繊維において、石油由来のバージン原料からの完全脱却を進めています。ペットボトルや回収された古着、廃棄漁網などをアップサイクルした再生ポリエステルや再生ナイロンを積極的に採用。100%再生可能・リサイクル原料への完全移行を目指す姿勢は、アパレル業界の循環型モノづくりを大きく牽引しています。
土壌と森を再生するオーガニックの追求
一方、天然繊維の代表であるコットン製品においては、栽培時の農薬被害から土壌や農家を守るため、1996年以降すべての製品を農薬を使わない「100%オーガニックコットン」へ切り替えました。近年ではさらに一歩進め、土壌を回復させて大気中のCO2を地中に閉じ込める「環境再生型有機農業」を推進。原材料の栽培現場から森林や生態系の生物多様性を守り、大地そのものを豊かにする循環を支えています。
衣類を長く着るリペアセンター

製品を買い替えるのではなく、直して長く使い続けることこそが最大の環境対策です。パタゴニアは自社リペアセンターを運営し、グローバル全体で年間10万点以上の衣類を修理し続けています。
衣類の寿命をわずか9ヶ月間延ばすだけでも、製造や廃棄に伴う炭素排出・水の使用といった環境フットプリントを20〜30%削減できます。2011年には「このジャケットを買わないで(Don’t Buy This Jacket)」という異例の広告を打ち出し、過剰消費を見直すきっかけを世界へ投げかけました。
🔗 パタゴニア公式:製品を長く大切に使うための取り組み「Worn Wear」の詳細はこちら
海を守る天然ラバーと漁網リサイクル
パタゴニアは海の生態系を守るため、石油由来の合成ゴムを使わない世界初の天然ラバー製ウェットスーツ「ユーレックス」を開発し、その技術を他社にも無償公開しました。さらに、海洋汚染の大きな原因となる廃棄漁網を回収・再生した素材「ネットプラス」を帽子やジャケットのパーツに採用するなど、海のゴミを資源に変える循環を生み出しています。
地球を修復するプロビジョンズ食品

環境保護の取り組みはウェアにとどまりません。食品事業「Patagonia Provisions(パタゴニア プロビジョンズ)」では、環境再生型有機農業(リジェネラティブ・オーガニック)で栽培された多年生穀物や、生態系を壊さない持続可能な漁法で獲れたサーモンなどを展開しています。
従来の工業型農業や乱獲による土壌・海洋の破壊を食い止め、食べることで地球をより豊かに修復する新しい食の循環をつくっています。
自然電力を選ぶオフィスとサプライチェーン
自社の直営店やオフィス、流通拠点において再生可能エネルギーへの切り替えを進めるだけでなく、温室効果ガス排出の大半を占めるサプライチェーン(素材製造や染色工場など)の脱炭素化をパートナー企業とともに推進しています。
一着を長く愛用するエシカルな暮らし方
パタゴニアの姿勢は、私たちの日々の買い物や持ち物との向き合い方にも心地よいヒントを与えてくれます。
購入前に本当に必要かを見直す
新しいモノを手に入れる前に、「手持ちの服で代用できないか」「修理して着続けられないか」を一度立ち止まって考えてみること。本当に必要な一着を吟味して選ぶことが、結果として愛着と豊かな暮らしに繋がります。
ほつれや破れをお直しして使い続ける
穴があいたりボタンが取れたりした服をすぐに手放すのではなく、補修テープを貼ったり簡単なステッチを入れたりして手入れをしてみる。パタゴニアが提唱する「使い続ける誇り」を取り入れることで、モノとの絆がぐっと深まります。
パタゴニアのように、環境や社会に真摯に向き合う企業を見極める指標として世界中で注目されているのが「B Corp認証」です。私たちがエシカルな選択をするための基準として、どのような仕組みなのかこちらの記事で詳しく解説しています。
🔗 いい会社の世界基準 B Corp認証とは?仕組み・取得方法・日本企業の最新事例を完全解説
パタゴニアのSDGsに関するQ&A
Q1. パタゴニア以外の服(他社製品)が破れた場合でも、直してもらえますか?
A1. 通常のリペアサービスはパタゴニア製品のみが対象ですが、各地で開催されるイベント「Worn Wearツアー」では、ブランドを問わず他社のウェアでも破れの縫製やファスナー修理を受け付けています。「ブランドに関係なく、服を直して長く大切に着る」というカルチャーそのものを広めるための独自の取り組みです。
Q2. なぜ「服を買わないで」という広告を出したのですか?
A2. 2011年のブラックフライデーに掲載された「Don’t Buy This Jacket」キャンペーンは、不必要な消費を抑え、本当に必要かどうかを考えてから購入してほしいという問題提起でした。過剰消費が引き起こす環境負荷への強い危機感が背景にあります。
Q3. 食品事業(パタゴニア プロビジョンズ)を展開している理由は何ですか?
A3. 工業型農業による土壌劣化や海洋破壊を食い止めるためです。環境再生型有機農業(リジェネラティブ・オーガニック)で栽培された多年生穀物や持続可能な漁業による魚缶など、食品を通じて土壌と海の環境を修復する新しい食の循環を目指しています。
2026年11月 加筆修正










