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徹底した、ブレない軸が
サステイナブルムーブメントを
作り続ける
Allbirds (オールバーズ)合同会社

企業プロフィール
2016年、フランシスコで創業。
元プロサッカー選手のティム・ブラウンと、バイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンジャーが共同で設立。
自然由来の原材料を使用したシューズ、環境に配慮する取り組みでたちまち人気を呼び、TIME誌で「世界で最も快適な靴」として賞賛。ハリウッドセレブも愛用するサステイナブルブランドに成長。
日本には2020年に上陸。原宿、丸の内、大阪の3か所に店舗展開。(2022年8月現在)

サステイナブルな取り組みについて

「ビジネスの力で気候変動を逆転させる」という理念のもと、最終的な目標としてカーボン排出量ゼロ以下を掲げる。
2020年4月より、全製品においてカーボンフットプリント排出量を表示。
競合他社とパートナーシップを組むなど、さまざまなサステイナブルな取り組みが話題。
B corp認証取得、FSC(森林認証制度)認証の素材を使用。
取り組みの詳細は公開しているサステナビリティレポートで確認可能。
https://www.allbirds.jp/pages/sustainable-practices

サステイナブルな素材、履き心地よい実用性、シンプルなデザインで、シューズ界に革新的な風を吹き込んだオールバーズ。地球環境に配慮しながらビジネスを成立するための戦略や人気の理由について、マーケティングディレクターの蓑輪さんにうかがいました。

日本初出店時の2020年には、全世界の店舗のなかで、日本が売り上げ1位になったとお聞きしました。日本で受け入れられた要因はどういったところにあるのでしょうか?

(蓑輪さん)国内でSDGsへの意識が高まってきていた背景と、革新的なシューズブランドとしてクチコミが広がっていた部分が大きいと思います。

さまざまなサステイナブルな取り組みをされていますが、代表的なものといえば何でしょうか?

(蓑輪さん)
最初に出した商品「ウールランナー」です。創業者がニュージーランド産メリノウール(※1)を使って製造販売をスタートしました。メリノウールは冬は温かく、夏は結構涼しく、通気性があり、温度調整がきくという素材。匂いもしにくい。当時はこのような素材を使ったシューズが、世の中にほぼなく、それを開発し、発売した商品が代表作といえます。雑誌「TIME」でもご紹介いただいた履き心地良さで、オールシーズン使えるようなシンプルなデザイン。さらにお求めやすい価格で、ヒットし広まりました。

(※1)スニーカーに使われているウールは「ZQメリノ(畜産、土地利用、動物福祉の高い基準を満たすメリノウールの認証)」取得済の素材

▲ブランドの代名詞となる製品、(ウールランナー)」
靴底はブラジル産のサトウキビを加工した素材。

このような革新的なアイデアが日本ではあまりなく、事業として世界的に知られているとはいえないと思いますが、これからのSDGsに関連した事業に必要なことは何だと思われますか?

「意識が先。アイデアは共有する」

(蓑輪さん)
世界のオールバーズ社内でのSDGs認知度は極端に低く、SDGsの目標にどれがあてはまっているかなどは、重要視していません。
大きな柱にあるのは、「気候変動をビジネスの力で逆転させる」と言う意識が先にあります。SDGsで言うと、13番にあたりますね。
アパレル、シューズの多くの商品が石油から生まれ、進化を遂げてきました。この流れが気候変動の要因になっているということは明白で、科学者から報告されているので、極力石油由来でない、天然素材をベースにしてものを作ります。
発明することができたら基本的にはオープンソース(※2)にして皆さんに使っていただくという流れを作ります。

「数値化して現実を見る」

(蓑輪さん)
力を入れているのは、カーボンフットプリントです。
商品が生まれるその素材の糸のところから、組み立ててお客さんにも販売して、最後に捨てられるまでにどのくらいの環境負荷が掛かっているかという、透明性を持つために温室効果ガス排出を数値化してカーボンフットプリントを計測したものを、商品に掲示しています。
これはダイエットと一緒で、自分自身の体重がわからないと減らせない。次の目標の体重を決めると同じように、我々の商品がどのぐらいのカーボンフットプリントを排出しているかというのは分からないと減らせないんですよね。

例えば靴はシーズンごとなど定期的に、アップグレードしています。
お客様からのフィードバックを得て、社会のトレンドなどを取り入れて、それでアップデートする時に、例えばこの靴が10kgCO2eのカーボンフットプリントを排出していますというのが分かったらいい。10.1CO2eのシューズを作れないわけです。
基準値を作ると言う意味でも、社会的にも社内的にも大切な数字になっています。

(※2)オープンソースについて
オールバーズで開発された製品のカーボンフットプリントを算出するツールを一般に公開。
下記よりダウンロード可能
https://www.allbirds.jp/pages/carbon-footprint-calculator

今よりもさらに環境負荷を減らしていく工夫をされているということですね

(蓑輪さん)
はい。もちろんそうです。
先日、長野の小布施という街で、ハーフマラソンのスポンサーをしましたが、通常の協賛金を提供するような形ではなく、長野の森林に植林をしてオフセットするスポンサーをしました。
参加する方は5000人ぐらいでしたが、どういう経路でやってきて、どのぐらいの人が宿泊して、どのぐらいのゴミを排出するか、ペットボトル量とかも計算して…
お金を渡してサポートするだけでなく、人が移動することによって排出してしまう二酸化炭素の量を知ってもらったらといいと。遠くから来ないでくださいってわけじゃなくて、そういう事実を知って、一人で車で来たけど、来年からやっぱり環境負荷の低いものにしようという意識に変わればいいと思います。
給水スポットにマイカップをもってこようとか。
そんな新しいパートナーシップもしています。
そういうことを行うのは。日本で初めてじゃないかなと思います。

「楽しみながら地球に やさしいアクションを促す」

すべてにおいて一貫しているんですね。

(蓑輪さん)
結構、皆さん細かいところを見ていると思います。
例えばお店のハンガー。プラスチックのほうが安いわけですが、バナナからできたあのハンガーにしたり、なるべくその環境の負荷が低いように。細かいところかもしれないけど、こだわってやっています。

だからといって自分が仙人みたいな仕事をしているわけではなく、電気も使うし、ガソリンの車も乗る。でもなるべく自転車使ったり歩いたりしようとか、そういう小さな行動が少しずつ積み重なっていくと、10年、20年後になった時に一般的になんじゃないかなって思っています。

生活に支障が出るような、ストイックな生活をしてください。と言っているわけではなくて、やっぱりファッションは少しみんなと違うのが楽しいというところがあり、靴下にワンポイントを入れたり。ファッションっていうのは自分の主張でもあり、そこが楽しみたいところだと思いますから。
自分のその個性とかを生かしながら、でも地球にちょっと優しい。
きっかけと、アクションを促すようなことを考えています。

「つながりを大事にすると 新しいことが生まれる」

アディダスさんとのコラボ商品がありますが、反響はいかがですか?

(蓑輪さん)
アディダスさんとのコラボは、社内的にも社外的にも素晴らしいものがありました。
コラボレーションするというのは、お互いのロゴを並べてくっつける、というのでなく、上流にある思想によって生まれると思います。お互いにこの環境問題に関していきましょうと。環境問題によって生じる生活への影響、人が体現できる場所が奪われてきてしまうことなど、少しでも解決するために、今後環境負荷の低いものを一緒に作っていきましょうという想いがスタートになります。


▲Adizero x Allbirds 2.94 kg CO2e という、これまでで最も低いカーボンフットプリントの超軽量ランニングシューズが完成

アディダスさんからすごく学びましたし、先方へもカーボンフットプリントの計測の仕組みやなど包み隠さずお互いに情報共有しました。

対外的にはやっぱり、世界中のほとんどが知っているブランドですから、多くの人に知ってもらう良い機会になり、一緒に作っていくことで、そのプロダクトの信頼性も高まったと思います。非常に、大きい取り組みでした。

グローバルなパートナーシップもそうですが、ローカルのコミュニティとのつながりもとても大切にしています。

アンバサダーが5人ぐらい、サーファーの方や、藍染師さん、再生可能農業に取り組んでらっしゃる方など、その方たちと一緒に何か協業して、新しいムーブメントや、気づきを作りたいなと思っています。

パートナーシップというと、原宿のお店が特にやっているのですが、近隣の方と週に一回、ゴミ拾いをしています。
表参道にあるパタゴニアさんなど、一緒に朝ゴミ拾いして、街をきれいにするのが目的なのですが、そのときにいろんな会話が生まれて、「一緒にと新しいことしましょう」という、つながりが生まれたりします。

8月に開催する、ダンボールのアーティストの島津冬樹さんのワークショップは、捨てられているダンボールで作って、組み立てていくと、名刺入れや財布になり、新しい命を吹き込みます。簡単に15分ぐらいででき、子供達の自由研究にもなります。

「社会課題を解決するには、 企業として存続しながら、 みんなと一丸となることが大事」

社会的な取り組みをして、つながりを大事にすると、社会的にも商品のことも認知が広がっていくんですね。

(蓑輪さん)
大きい地球規模の問題は、一個人や一つの会社だけで解決できない問題なので、SDGsの目標17番のように、みんなが一丸となって変えていかないとと思います。

解決しないといけない課題がいっぱいあるからこそ、同じ志を持っている同志たちが手を取り合って新しい社会を一緒に作っていくことがいいと思います。

もちろんそれだけでは企業は存続しないので、ちゃんとお客さんに支持していただけるような商品を磨いていく。
たくさんの意見を聞いて、新しい商品を出して、ファンになっていただいて、買っていただくことができることによって、そういう社会活動も続けることができると思っています。

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編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。