人権

ファッション業界の労働問題とは?人権侵害の現状と私たちができる2つの選択

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みなさん、ファッションは好きですか?洋服はどれぐらいの頻度で買いますか?

ファッションというのは、ある人にとって趣味のようなもので好きな服を着ると気分が上がったり、その日1日頑張ろう!という気持ちになったり、好みのデザインの洋服を見つけるとうきうきしたりします。またある人にとっては仕事用の服を決めることで、その服を着ると仕事モードに切り替えられるものです。

いずれにせよ、どんな人にとっても洋服は生活するうえで必要不可欠ですよね。
そんな私たちにとって身近なファッションですが、洋服がどういう風に作られているか、どんな人が作っているのかご存じでしょうか?
ここで、数年前に海外で起きた出来事を1つ紹介します。

ファッション史上最悪の惨事「ラナ・プラザ崩壊事故」とは

それは、2013年4月24日にバングラデシュで起きた事故です。
バングラデシュにある繊維工場などが入った「ラナ・プラザ」という建物が崩壊し、そこで働いていた1000人あまりの人々が亡くなり、2500人ほどが負傷してしまいました。

なんでバングラデシュ?ファッションと関係あるの?と思った方もいるかもしれません。
これは、建造物の安全管理の甘さが引き起こした事故でした。

というのも、私たちのよく知っているファッションブランドが販売している洋服のほとんどはバングラデシュをはじめとした発展途上国と呼ばれる国や地域で製造されているのです。しかしながら、これらの国や地域にある繊維工場において安全管理は徹底されていないことが多く、この事件を皮切りに工場での労働環境問題を世界が注目し始めるようになりました。

Tシャツ1枚の利益はわずか0.6%?ファッション産業が抱える低賃金の実態

それでは、具体的にどのような労働環境問題があるのかを見ていきましょう。
2018年に発表されたILOの調査によると、世界には約7500万人がファッション産業に従事しているのですが、彼らは取り扱いが危険な素材を使ったり、長時間労働・低賃金の労働を強いられていることがわかりました。

例えば、実際に労働者はどれくらい賃金を払われているのでしょうか?
Clean Clothes Campaignという団体が行ったファッション産業の労働環境に関する調査によると、驚くべきことがわかりました。

それは、なんと€29(=4244円。2022年11月1日時点。)のTシャツの0.6%、つまり約250円しか労働者に払われないということです。

下の図からもわかるように、小売店への利益が1枚のTシャツの販売価格の過半数を占めており、その他にも原材料費、ブランドの利益、輸送費などが多く占め、実際に労働者に払われるのはごく一部でしかありません。

 

また、同調査によると、セルビア、ウクライナ、クロアチア、ブルガリアの4か国において、生活水準を維持するのに必要な最低賃金を払われている労働者は20〜30%ほどしかいないことがわかりました。

日本で売られる洋服の98%が輸入品。労働問題は「他人事」ではない

ただ、これらの情報を見てもあまり身近に感じることは難しいかもしれません。
日本で売られている洋服のうち輸入されているものは何%ほどだと思いますか?
日本繊維輸入組合の調査によると、2021年時点で日本において売られている洋服のうち輸入品は驚くことに約98%を占めているのです。

さらに、日本総研が日本のアパレル企業に対して人権問題の認識調査を行い、2020年に結果を発表しました。
調査対象企業のうち、問題を認識していると回答したのは30〜40%で、さらに改善要求を行っている企業はそのうちの20%前後にしか及びませんでした。
日本企業が製造国における労働環境問題に対して意識が高いとは言い難いです。
そうなると、なかなか他人事として片づけることは難しいですよね。

ファッションを楽しみながら貢献する。私たちにできる2つのアクション

それでは、私たちにできることは何があるのでしょうか?
いくつか紹介したいと思います。

  1. サステナブルなブランドで購入する
    最近では、製造過程のなかで強制労働・児童労働を禁止していることや、環境への負荷が少ない原材料を使っていることなどを公表しているファッションブランドもあるので、そのようなブランドで洋服やアクセサリーを買ってみてはいかがでしょうか。
    筆者は、以前VEJAというフランスのシューズブランド(オーガニックな原材料づくりなどサステナビリティ実現に注力するブランド)に出会ったので近々そちらで靴を買ってみようと思います!

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  2. 1つの服を長く使う
    先に見たようにファッション業界では人権問題が存在するため、購入する服の数を減らし、1つの服をより長く、大切に着るということが人権問題緩和に貢献できます。またその点では、古着を購入するというのは、好きな服を着ることとサステナビリティへの配慮の両立ができ、大変効果的な方法です。最近では、古着の1点モノを身に着けることや、古着ならではのデザインに注目が集まっていてより広まりつつあります。
    筆者も先日、アメ村で古着のスウェットを購入しました!1着8000円ほどで少し高めではありましたが、その分大切に使おう!という気持ちが生まれるのでこれからも積極的に古着を買っていこうと思います!

以上紹介したこと以外にも、洋服を楽しみながらサステナビリティ実現に貢献できる方法がたくさんあるのでみなさんもぜひチャレンジしてみてください!

職場環境と労働問題に関するよくある質問(Q&A)

Q1:ファストファッションの何が一番の問題なのですか?

A:安さを追求するあまり、製造工程における「透明性」が失われている点です。企業がコストを抑えるために下請け・孫請け工場へ発注を繰り返すことで、末端の工場での過酷な労働環境や、安全基準を無視した違法な建物管理が見えにくくなっていることが大きな課題です。

Q2:エシカル(倫理的)なファッションを選ぶ具体的な基準はありますか?

A:「国際フェアトレード認証」などの第三者認証マークがついているかを確認するのが一番分かりやすい目安です。また、そのブランドが「誰が、どこで、どのように作ったか」というサプライチェーン(供給網)を公式サイトなどで公開しているかどうかも、信頼できる基準になります。

Q3:私たちが一人の消費者の行動を変えることで、本当に世界は変わりますか?

A:はい。消費者の選択は企業への「一票」と同じです。サステナブルなブランドを支持する人が増えれば、企業は売上のために人権や環境に配慮せざるを得なくなります。一人の「長く大切に着る」という行動が、過剰生産に歯止めをかけ、結果的に途上国の労働負荷を減らす大きな力に繋がります。

他のファストファッションについての記事はこちら▼
ファストファッションが大きく変わる!変革期。

参照
JETRO,2021,縫製工場での安全基準の今: 日系企業の取り組みと課題(バングラデシュ) アジアのサプライチェーンにおける人権尊重の取り組みと課題(6)
ILO,2018,UN Partnership on Sustainable Fashion and the SDGs
Clean Clothes Campaign,”Poverty Wages” https://cleanclothes.org/poverty-wages
FIPSA,2022,FISPA便り「コロナ禍でも国内供給量は増加」
株式会社日本総合研究所,2020, 環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務 – 「ファッションと環境」調査結果 -p.21
Global Citizen,2021,  7 Sustainable Ways You Can Fight Fast Fashion at Home

2026年4月加筆修正

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すぎまり

はじめまして!すぎまりです! SDGs文脈での自己紹介をすると、大学では国際NGOで貧困地域住居建築活動・国内災害支援・福祉活動などしてました。 その後NPO法人で一年半インターン、現在はSDGsコンサル事業を展開する会社で働いてます。 また、現在シェアハウスで約2年間住んでおり、いつかコミュニティハウスを作りたいと思ってます!

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