弓道とSDGs
私は弓道をしています。白い道着と袴の凛とした姿に憧れて始めました。
普段は道着で練習していますが、有段者の先輩は時折着物で練習をしているのに驚きました。
弓道は和の文化なので、正式には着物で行うものだそうです。四段・五段となると着物が必須です。審査になると洋服の礼装と同じで、黒の紋付・袴が望ましいようです。
ですから、暮れの『納会』や正月の『初射会』には「あなたも着物を着てこんね」と勧められるようになりました。その時は、「まだいいです」と逃げていましたが、割と早く参段に昇格してしまい、いよいよ着物を用意しなければならないようになりました。
着物を着ている先輩に「長いまま着ているのですか?」そう尋ねると「長いままでもいいけど、膝上で切っていますよ」と、見せてくれました。
「え、あの高い着物を切るなんて、そんなもったいないですよ」驚く私に先輩は「弓道用で短いのも売っていますよ」
別の先輩は「私はリサイクルショップで、500円で買いましたよ」とショップの場所まで教えてくれました。
早速休みの日に教えられたリサイクルショップへ。
洋服のリサイクルショップは近くにあるので、寄ったことはありますが、着物は初めてです。
入ってみると、無地から華やかな色柄物までたくさんの着物が並んでいました。年齢や好み、生活の変化などから着られなくなったあの高い着物もこうしてリユースされていたのですね。
1000円から3000円くらいのものが多かったです。さすがに500円の着物を見つけることはできませんでしたが、1000円と2500円で良さそうな無地と小紋の着物を買いました。これなら裾を切ることができそうです。
帰るとすぐに、膝上でチョキチョキと切り、端を纏りました。私の弓道用の着物の出来上がりです!
着物はできたのですが、裾の方も1m×1.4mほどの長方形の布が2枚残りました。これもこのまま捨てるわけにはいきません。風呂敷、弓巻き、弽袋、襷袋などに変身させました。着物とお揃いの洒落た道具入れになりました。
しばらくして、先輩方から自分には短すぎるからと、着物や袴を頂きました。
ところで、道着も着物も角帯で締めます。でも角帯は長すぎるので、半分でちょうどいい長さです。切ってマジックテープを縫い付け2枚にしました。1枚は最近入った後輩に譲ると「これもSDGsですね」と喜んでくれました。
SDGsとはかけ離れた世界のような弓道のなかにもしっかりとSDGsが生きていました。