SDGs特選コラムNo. 715

オリンピックレガシーとは?持続可能なスポーツイベントの構築について

国際的なスポーツイベント(例えばオリンピックやワールドカップなど)は、私たち観衆に感動と勇気を与えてくれる。
世界中の誰もが今後の永続的な発展を願っているのではないだろうか。

今回本記事ではオリンピックを事例に、スポーツイベントで残された施設やサービスを『遺産(レガシー)』として捉えた上で持続可能なスポーツイベントの構築について考えていきたい。

オリンピックレガシー

『オリンピック•レガシー(Olympic legacy)』とは
大会開催前から大会期間中にかけて行われる施設、技術、サービスなどをオリンピックやパラリンピック開催期間中だけのために活用するのではなく、大会開催後もその国や地域の資産として持続的な効果を発揮するものとしていかなくてはならないという考え方である。

4年に1度の世界規模のスポーツの祭典は、その国や地域に大きな経済効果をもたらす一方で、その時期に設けられた施設やサービスが『負の遺産』となってしまってはオリンピック•パラリンピックの価値自体を下げてしまう。

具体的な事例を以下で紹介しておきたい。

事例1:シドニー大会

2000年のオリンピックはオーストラリアのシドニーで行われた。
ホームブッシュベイというシドニーの中心部から西に離れた工業地帯に『シドニーオリンピックパーク』を設立し、このオリンピックパークを中心とした運用がなされた。
きっかけはシドニー西部の人口増加に伴って、スポーツレクリエーションの場を提供する必要性が出てきたことなどがあげられる。
招致を受ける上で特に強みとなったのが、環境改善策、緑地化による生態系保存などの持続可能な発展への積極的な取り組みである。
現在はさらなる発展を目指して、大規模な緑地面積を確保しながら商業機能を駅近くに集中させたり、教育機関はスポーツ施設の近くに設置するなどの構想を練っているという。

参考リンク
https://www.ssf.or.jp/international/australia/20150406.html

事例2:リオデジャネイロ五輪

次は2016年に開催されたリオデジャネイロ五輪の事例だ。
こちらは先ほどのシドニー大会とは異なり、問題は山積しているようだ。
五輪の際に建設された公園は封鎖され、公立学校が建てられる予定だった場所は当時のまま、挙げ句の果てには選手村はゴーストタウンになっているという。

なぜこのようなことが起こってしまうのか。
原因は行政の資金不足、運営体制の問題とさまざまだが、今後の活用の見通しが立たないまま施設を乱立させてしまったことも大きいのではないだろうか。

参考リンク
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202108070000513.html

『持続可能な』スポーツイベントの構築とは

オリンピックレガシーとして2つの事例を紹介したが、今後持続可能なスポーツイベントを開催していくためには、スポーツイベント開催後も見据えた施設やサービスの構築を目指していくべきだと感じている。
私たちはスポーツを『する』『みる』『ささえる』ことによって多くの価値を享受してきた。
そしてその概念は今後も揺らぐことがないと信じたい。
だからこそスポーツイベントの開催を持続可能なものとする評価の1つの基準として

『持続可能な価値ある資産(レガシー)となっているのか(またはなり得るのか)』

ということが重要になってくるのではないだろうか。

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