お気に入りの食器を自分で直す金継ぎのやり方と捨てない暮らし
金継ぎとは、割れたり欠けたりした器を漆で接着し、金などの金属粉で装飾して修復する日本古来の伝統技法です。毎日の育児や仕事、家事に追われて心がちょっぴりお疲れのとき、壊れてしまったお気に入りの器を自分の手で丁寧に蘇らせる時間は、最高のセルフケアになります。不完全なものを愛おしむマインドが、忙しい日常に心地よいゆとりを届けてくれます。
『お気に入りの食器が割れたとき、捨てるのはなんだか心が痛む、罪悪感がある』と感じる方はとても多いのではないでしょうか。伝統的な金継ぎは本漆の乾燥に数か月かかりますが、現代の簡易金継ぎ(DIY)なら、初心者でも最短1日で仕上げることが可能です。
初心者も自分でできる金継ぎの基本のやり方
初心者でも自宅で簡単にできる簡易金継ぎの基本のやり方は、「断面の掃除」「接着」「パテ埋め」「金粉での装飾」という4つのステップを進める方法です。特別な技術がなくても、100円ショップやホームセンターで手に入る道具を使い、プラモデルを組み立てるような感覚で、最短60分ほどの作業時間(乾燥時間を除く)で美しく仕上げることができます。
普段あまりDIYをしない私も「不器用だから失敗するかも…」とドキドキしながらの挑戦でしたが、ポイントさえ押さえれば想像以上にきれいに仕上がりました。特に、最初の工程である「断面のやすりがけ」を30秒〜1分ほど丁寧に行うだけで、その後の接着剤のくっつきやすさが劇的に変わります。実際に試して分かった、一番綺麗に仕上がる具体的な手順を紹介します。
おうちで1日、お気に入りを蘇らせる簡易金継ぎレシピ
簡易金継ぎの最大の魅力は、特別な道具を使わずに、週末のわずかな時間で大切な器を自分で直せる手軽さにあります。ここでご紹介するのは、伝統的な漆の代わりに「食品衛生法適合の安全な合成樹脂」を使用した、かぶれのリスクがない現代風のDIYレシピ。プラモデルを組み立てるようなワクワク感とともに、最短60分ほどの作業でお気に入りの器に新しい命を吹き込むことができます。
- 修復する器: 割れてしまったり、フチが少し欠けてしまったりしたお気に入りの食器
- サンドペーパー(紙やすり): 断面をなめらかに整えるための目の細かいもの(400番程度)
- エポキシ接着剤(2液混合型): 割れた破片同士をピタッと強力に繋ぎ合わせるためのもの
- エポキシパテ: 欠けてなくなってしまった隙間や穴を埋めるための粘土状の補修材
- 新うるし(または食品衛生法適合の合成樹脂): 金粉を器に定着させるためのベースとなる液体
- 真鍮粉(または純金粉): 継ぎ目を美しく彩り、世界に一つのアートに仕上げるための金属の粉
- 細筆とパレット: 接着剤を混ぜ合わせたり、金を細く繊細に描いたりするための道具
- マスキングテープ: 接着剤が乾くまでの間、破片がズレないようにしっかりと固定するためのもの
- ニトリル手袋: 固まる前のパテや接着剤(化学物質)が直接肌に触れるのを防ぐための保護手袋
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断面のクリーニング(やすりがけ): 割れた断面の破片をきれいに洗い、目の細かいサンドペーパー(400番程度)で軽くこすってバリを取ります。これで接着剤の密着度が2倍に高まります。
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接着と固定(乾燥10分): エポキシ系の2液混合型接着剤を等量混ぜ、断面に薄く塗って破片同士をぴったり合わせます。マスキングテープで固定し、約10〜15分動かさずに固めます。
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隙間のパテ埋めと削り: 欠けて足りない部分がある場合は、エポキシパテを練り込んで埋めます。完全に硬化したら、カッターナイフややすりで器の表面とフラットになるまで削ります。
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金粉の装飾(仕上げ): 新うるし(または合成樹脂)に真鍮粉(または純金粉)を混ぜ合わせ、細筆を使って修復した線の上に細く描くように塗っていきます。そのまま丸1日以上、風通しの良い場所で乾燥させれば完成です。
初心者向けのおすすめ金継ぎキット
「必要な道具を一つずつ揃えるのが大変…」という方には、初心者向けに必要な道具がすべて揃ったオールインワンのスターターセットが便利です。
「肌がかぶれるのが心配だから手軽に始めたい」という方には食品衛生法適合の合成樹脂を使った簡易キットが、「口に触れるものだから完全ノンケミカルにこだわりたい」という方には100%天然の生漆を使った伝統キットがおすすめです。初心者でも失敗しない大ヒット商品をタイプ別にご紹介します。
【最短1日で完成】手軽でかぶれない簡易金継ぎキット
伝統的な漆を一切使わず、乾燥待ち時間も少ないため、週末の限られた時間でサクッとDIYを楽しみたい方に最適です。
- 【動画付きで失敗ゼロ】金継ぎラウンジ 金継ぎスターターセット
特徴: 現役の金継ぎ講師が監修。食品衛生法に適合した安全な合成樹脂を使用しているため、仕上がった食器を子供の食事にも安心して使えます。丁寧な動画解説付きで安心です。
おすすめな人: 詳しい動画を見ながら、自分のペースで失敗なく進めたい方。 - 【1つの器をプチお試し】金継ぎラウンジ 簡単金継ぎセット ライト
特徴: 上記セットの機能をそのままに、最低限の道具だけをコンパクトに凝縮した最安値モデル。イラスト入りの分かりやすい説明書付きです。
おすすめな人: 「まずは家にあるお気に入りのマグカップを1個だけ直してみたい」というライト層の方。
【100%天然素材】安心安全な本格伝統金継ぎキット
合成樹脂や化学接着剤を一切使わず、天然の生漆(きうるし)と自然由来の素材だけで修復します。時間をかけてモノと丁寧に向き合いたい本物志向の方におすすめです。
- 【老舗漆問屋の本格入門版】播与漆行 金継ぎ初心者セット 14点セット
特徴: 江戸時代から続く伝統ある漆問屋が、初心者向けに必要な道具をフルにまとめた本格セット。東急ハンズの店頭でも大人気の商品です。
おすすめな人: 道具の質にもこだわり、本物の漆芸の職人技を体験してみたい方。 - 【一生モノの美しさを宿す】つぐキット 金(TSUGUKUI)
特徴: 金継ぎ専門店が開発した、洗練されたパッケージとおしゃれな道具が詰まった大ヒットキット。最高品質の純金粉(消粉)を使用するため、仕上がりの奥深い輝きは一線を画します。
おすすめな人: 100%天然・完全オーガニックで、我が子の使うお茶碗を最も安全に直したい方。
自宅での金継ぎ体験における注意点
私が実際に金継ぎDIYに挑戦したところ、いくつかのリアルな気づきがありました。自宅で金継ぎを安全に楽しむために、正しい知識を持って作業に臨むことが大切です。特に気をつけるべき3つのポイントをお伝えします。
- 換気の徹底: 簡易金継ぎのパテや接着剤は化学物質が含まれ特有の臭いがあるため、こまめな窓開け換気が必須です。
- 食品衛生法の確認(食器としての安全性): 直した器を再び口に触れる食器として使う場合は、使用する材料が「食品衛生法適合」であるかを必ずパッケージで確認してください。
- 本漆の「かぶれ」対策(手袋必須): 本格的な漆を使う場合は、天然成分ゆえに肌に触れるとかぶれることがあります。必ず長袖を着用し、厚手のニトリル手袋をつけて作業しましょう。
お気に入りの器と歩む捨てない暮らし
お気に入りの器を金継ぎで直して使う「捨てない暮らし」とは、単にゴミを減らすだけでなく、モノに宿る思い出やストーリーを大切に紡ぎ、自分自身の心の豊かさを育むエシカルなライフスタイルです。大量生産・大量消費の波から一歩離れ、一つのモノを慈しみながら長く使う選択をぜひ一度体験してみてください。
形あるものはいつか壊れます。しかし、金継ぎの手間をかけることで、壊れたはずの器が「世界に一つだけの新しいアート」へと生まれ変わります。
- 罪悪感からの解放: 大切な人からもらったお祝いの品や、旅行先で一目惚れした器を「うっかり割ってしまった」という自分を責める気持ちが、優しい愛着へと変わります。
- 不完全さを愛せる心の余裕: 均一でピカピカな新品よりも、金の筋が入った少し歪な器の方が美しく見える。その気づきが、育児や仕事で完璧を求めて疲れてしまう現代人の心をふっと軽くしてくれます。
- 子どもへの最高のエコ教育: 「壊れたから買い直す」のではなく、「壊れたからみんなで直そうね」と子供に伝える。言葉でSDGsを教えるよりも、何倍も深く子供の心にモノを大切にする優しさが育ちます。
壊れたものを自分の手で直して長く使う金継ぎの精神は、私たちの心を満たし、地球の未来を守るエシカルなライフスタイルそのものです。 TSUNAGOODでは、日々の暮らしの中でゴミをそもそも出さないように工夫する「ゼロウェイスト」なアイデアをたくさんご紹介しています。金継ぎと合わせて、今日から自宅や外出先でできる小さなエコアクションを始めてみませんか。
合わせて読みたい:ヴィーガン×ゼロウェイスト 地球にやさしいピクニックの始め方
金継ぎに関するよくあるQ&A
Q1:金継ぎした器は今まで通り電子レンジや食洗機に使えますか?
A:金継ぎを施した食器は電子レンジ、食洗機、オーブンの使用がすべてNGとなります。簡易金継ぎで使う樹脂や本漆は高温に弱く、100℃以上の熱で劣化して剥がれる恐れがあるためです。また、金粉や真鍮粉などの金属を含んでいるため、電子レンジに入れると火花が散る原因になります。洗う際は、柔らかいスポンジで優しく手洗いしてください。
Q2:小さな子どもが使うお茶碗に簡易金継ぎを施しても安全ですか?
A:小さなお子様や妊婦さんが使う食器には、エポキシ樹脂を使う簡易金継ぎではなく、100%天然素材である「本漆(伝統金継ぎ)」での修復をおすすめします。簡易金継ぎの材料には「食品衛生法適合」のものもありますが、万が一の化学物質の溶出が気になる場合は、完全オーガニックな天然漆と純金粉を使用するのが最も安心・安全です。
Q3:マグカップの取っ手がぽろっと取れた場合も金継ぎで直せますか?
A:マグカップの取っ手のように「常に大きな強い力が加わる部分」は、金継ぎだけでは強度が足りず再破断するリスクが高いため、あまりおすすめできません。金継ぎは主に器の「欠け」や、重さがあまりかからない「割れ」の修復に向いています。どうしても直したい場合は、接着面積を広げるなどプロの技法が必要になります。
参考
東急ハンズ:初心者も自分でできる「金継ぎ」のやり方とおすすめセット。
キナリノ:大切な器を自分で修理。「金継ぎ」の基本とおすすめキット
minne:金継ぎ講師に聞いた、金継ぎの基本のやり方とおすすめキット










