マイピックアップNo. 619

朝倉三連水車は 今もなお!

前回、中村哲さんと『山田堰』のすばらしさをお伝えしました。 
その『山田堰』から筑後川の大量の水が、堀川を通して下流域に農業用水として送られています。 

『山田堰』の取水口から堀川を2kmほど下ると、水車が見えてきます。その水車はなんと3基も並んでいます。そうです、日本最古の大型水車、『朝倉の3連水車』です。さらに、その下流に2連水車が2か所にあります。朝倉の揚水車群として国の史跡にもなっています。 
さらに『山田堰・堀川用水・水車群』として『世界かんがい施設遺産』にも登録されています。  

堀川も、名前の通り、先人たちが荒れ地に水を送ろうと、11㎞にも及ぶ用水路を掘って造ったものです。この工事により、周辺の農地を潤すことができました。 
しかし、川の北側は山の裾野に広がる少し高い荒れ地でした。小さな川や堤から水を取り入れてわずかな田畑を作っていましたが、虫害や干ばつが度々起き、十分な収穫を得ることができませんでした。 
そこで、考えられたのが水車で水を汲み上げることでした。  

高い土地に水を送るには、1基では足りず、さらに2基を並べ、3連水車ができました。それでも不十分で、さらに下流に2基ずつ2か所に、合計7基設置されました。 
この水車群によって、1日に8トンの水を汲み上げ、35haもの農地に送っています。 
『山田堰・堀川用水・水車群』は、荒れ地だった朝倉を穀倉地帯と呼ばれるまでに発展させました。  

水車は、平安時代からあったようですが、江戸時代から稲作のために各地で造られ、明治・大正時代の主要な動力源でもありました。明治時代には6万基もありましたが、蒸気や電気の普及とともに衰退していきます。現在は、全国で300基ほどしか残ってないそうです。 
観光目的で残された水車もありますが、この水車群は、230年の時を経て今もなお田畑に水を送り続ける、現役水車です。 
電気も化石燃料も使わず、もちろん温室効果ガスも出さない完全な再生可能エネルギーといえるでしょう。 
来福の折には、ぜひこの地へ足を運んで下さい。水車の音と緑にきっとあなたも癒されますよ。 

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