SDGs特選コラムNo. 7

SDGs目標達成のアイデアを見つける「バイオミミクリー」

SDGsで掲げられている目標の多くは地球の「資源」に関することと思います。人類が生きていくために「資源」を大事に活用し、奪い合うことなく、幸せに暮らすためのものと思います。
百科事典マイペディア(株式会社平凡社)によると、

資源とは、“人間がその生活の維持・向上のため働きかける対象としての自然界の一部。人的資源という言葉もあるが一般的には天然資源をさす。”

とあります。人類が生きるために「自然の資源」を生かすには「自然の知恵」に着目するのが「自然」なことなのかもしれません。

近年では、SDGsにある社会課題解決のために、生物の仕組みをまねる「バイオミミクリー」が取り上げられています。バイオミミクリーは、バイオ(Bio・生命、生物)とミミクリー(Mimicry・模倣)の言葉を合体させた造語で、1997年に出版された「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」の著者、ジャニン・ベニュス氏が命名したもの。生物からインスピレーションを得ることから、「バイオインスピレーション」という言葉を使っているのも見受けられます。1950年代にオットー・シュミット氏が提唱した「バイオミメティクス」と同じ生物模倣技術、生物模倣科学でもあります。

一方「バイクテクノロジー」は、生物の持つ能力や性質を利用し、直接生かすものになり、酒、ビール、ワイン、味噌などの発酵技術、植物の品種改良などもバイオテクノロジーにあたります。

バイオミミクリーやバイオミメティクスは、生物の機能や形状を模倣して、工学・医療・産業分野などで応用できる開発を行います。

身近にある生物を真似た技術

これまでも生物の仕組みを模倣した技術はたくさんあります。

  • ハスの葉→はっすい効果の塗料、防水スプレー、テフロン加工のフライパン
  • アサギマダラ蝶とアゲハ蝶の羽根→消費電力を変えずに風量を増す扇風機
  • カタツムリの殻→自動的に汚れが流れる外壁材
  • カワセミのくちばし→空気抵抗を減少させる新幹線の形状
  • サメ肌→流体抵抗を低減する競泳用水着

などなど。

これらの発明をみていると、目の前に解決する問題があれば、自然界のなかに答えが存在しているといえそうです。古くは、レオナルド・ダ・ヴィンチが、鳥の翼を観察し構想した飛行装置があったといいますから、生物をじっくり観察すれば新しいアイデアに行き着くのかもしれません。

自然の生態系をシステム化?

生物模倣技術の多くは、製品の機能性で活用されてきていますが、新たな段階に入ってきているのは生態系自体を模倣するということ。長い間かけて進化してきた地球の生態系をお手本に、持続可能のシステムを創造していくことに可能性を見出しています。これまでの“人間社会”から、人類も自然の一部として、“自然社会”を形成していくことが「生き残り術」なのかもしれません。

SDGsの目標「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」で生み出していくものは、自然に習ったものでありたい。
今まで当たり前にあり、見過ごしていた「自然」のシステムをじっくり観察することを始めて持続可能にするアイデアを出したいものです。

TEDのジャニン・ベニュス氏のスピーチでも、生物からたくさん学べることを
知ることができます。

TED ジャニン・ベニュス スピーチ日本語訳引用

彼らは自問しています
「何かを発明する時に『自然はどうしているか?』と 聞いてみるのはどうだろう」と

———————–
生物は二酸化炭素を毒とは思っていません
植物や、殻を作る生物、 珊瑚はそれを建築素材と見なしています
合衆国に、クララという名の セメント製造会社ができています
彼らは珊瑚礁からレシピを借りています
そして二酸化炭素を建築ブロックに使用し
セメントやコンクリートにしています
反対に、セメントは通常は 1トンのセメントから1トンの二酸化炭素を放出します
今やその方程式は逆転し 2分の1トンの二酸化炭素を
分離固定しているのです
珊瑚からのレシピのおかげです

参考

2020年7月1日現在調べ。リンク先は削除されている場合があります。

TED ジャニン・ベニュス 行動するバイオミミクリー
https://www.ted.com/talks/janine_benyus_biomimicry_in_action/transcript?language=ja

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編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。

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