おいしいお肉からはじまる温室ガス削減の魔法の餌とは
こんにちは。SDGsを経済的な観点から捉えていて記事をUPしています。eSです。
今回は私も大好きなステーキに関わってくる話をしていきたいと思います。世界の温暖化ガスの総排出量のうち、畜産分野は14.5%も占めます。二酸化炭素より量は少ないけれも、温暖化への影響の威力が二酸化炭素より深刻なのがメタンガスです。家畜の中でもとりわけ牛は大量の餌や水が必要なだけでなく、牛から排出されるゲップやおならにメタンガスがとても多く含まれるので、温暖化ガスの排出量が非常に多いくなります。家畜別にすると一目瞭然で、牛は豚や鳥にはるかに差をつける7割超で、メタンガスの排出割合を占めてきます。
最近では、欧米や日本ではの牛肉の価格がかなり高騰し、もともと健康に悪影響との懸念から消費量が減っていたところに価格高騰でさらに拍車をかけ、消費者離れが加速しました。とは言え、牛肉需要が縮んだとしても豚や鳥の肉に移行しただけでメタンガスへの大幅削減には繋がってはいないようです。
今年5月【味の素】では世界で畜産由来の温暖化ガスの削減を支援する目的で、独自開発した栄養剤を発表しました。この栄養剤は飼料に混ぜて牛に与えるもので、肥育期間を短くすることが可能となり、排せつ物の余剰物質を減らことによって、排出量を1割程度減らすというものです。世界の食品大手を通じて畜産農家に普及させる見込みで、供給先を2030年に約100万頭規模に拡大するとのことです。
なぜ肥育期間を短くできるかというと、味の素の栄養剤には飼料に不足しやすいアミノ酸が補われているとのこと。栄養バランスが整うことにより体内での栄養の利用効率が相互作用で高るそうで、ふん尿に混ざる余剰な物質が減っていくというメカニズムなんだとか。味の素の栄養剤が含まれる餌を食べた牛は、たんぱく質の組成に使うアミノ酸量が増えることにより、出荷までの肥育日数が短くなります。その効果により、1頭から出る温室ガスを約1割減らせるということです。
先行して国内から提携先への提供をはじめており、北海道の農場と鹿児島県などでも畜産業者などと実験を進めているとのこと。食品業界でもサプライチェーンの温室ガス排出量を削減するニーズが高かいはずなので、世界に販路を広げると思います。肉牛と乳牛を合わせて現在は数万頭にとどまる供給先だと発表がありましたがこれから大幅に増えていきそうです。世界中の家畜の餌から温室ガスへアプローチ。おもしろい観点だったので今回取り上げていきました。美味しいお肉と地球が繋がるとありがたいです!