世界10か国もの政府が生理用品の無料提供に至るワケ
ご存じの通り、生理用品の購入は経済的な負担であり、コロナ禍で生理の貧困がさらに深刻化しました。
生理用品を購入できない貧困家庭や、基本的な生活ニーズを満たすために節約せざるを得ない女の子は、学校に通えず、教育を受ける機会を奪われています。
こうした生理の貧困を解消しようと、生理用ナプキンやタンポンの無料配布に踏み切る国が増えています。
現時点で無償提供している主な世界の国々は以下の通りです。
①スコットランド
2020年11月より、世界初のタンポンと生理用ナプキンを無償提供する国へ。月経のある人は、コミュニティセンター、ユースクラブ、薬局で入手することが可能。
②ニュージーランド
2021年2月から国内のすべての学校が 6 月に無料のタンポンとナプキンの提供をスタート。就学率を高め、貧困に正面から取り組む試みとしてジャシンダ・アーダーン首相が決定している。ワイカト地域の学校では、全国的な義務化の施行前に試験導入されている。
③オーストラリア(ニューサウスウェールズ/ビクトリア)
学校がより包括的になり、生理に対する偏見を打破する狙いで、2018年より全ての公立学校でナプキン・タンポンの無料提供を発表。ビクトリア州は2020年より制度を導入。 ニューサウス ウェールズ州もそれに続き、2021年3月より学校での無料提供を開始している。
④アメリカ(イリノイ州/ワシントン州/ニューヨーク州/ニューハンプシャー州/バージニア州)
2016年にニューヨーク市は米国初となる、公立学校にタンポン・ナプキンを無償提供する法案を可決。図書館などの公共施設にも生理用品が無料で設置されている。
他の州は追随する形で2018年以降に無償化へ。2020年 1月にはバージニア州上院で満場一致で法案が可決。今まで生理用品は学校の看護師を通して入手していたが、より簡単に入手できるようになった。
⑤フランスのイル・ド・フランス(フランス北部,パリ盆地中部のパリを含む地方)
2020年9月より高校でのオーガニック生理用品の無料配布をスタート。2021年2月より、エマニュエル マクロン大統領の指示を受けて、無料のタンポンとナプキン ディスペンサーを設置している。
そのほか、韓国のソウル、ケニア、南アメリカ、ウガンダ、ザンビアも政府主導や民間組織との連携で、学齢期の少女に生理用品を無料提供しています。
もちろん、生理用品の無償化だけでは貧困をなくせません。教育、衛生的な水や下水設備の確保、ジェンダー教育と多角的な観点からの取り組みも必要です。
一方で、日本のジェンダー平等指数は120/156か国と、主要先進国の中では最低レベル。
「社会の見えないハードルや差別を取り払おう」「生理への不当な扱いをなくそう」という世界の風向きの変化を敏感に受け止め、今こそ真の平等に社会全体が向かうべきではないでしょうか。
※参考記事
https://www.globalcitizen.org/en/content/free-period-products-countries-cities-worldwide/