ふぞろいは正義だ。規格外野菜から学ぶダイバーシティの必要性
どんなに経験豊富な農家でも、一定数の出荷できない作物が出てしまうもの。この規格外野菜や果物が、フードロスの一因として今注目される。周知の通り、スーパーの店頭に並ぶのは、容姿がよく似た野菜や果物だ。日本では特に長さや形、色づきなど見た目の美しさ重視型の「出荷規格」を満たす商品が好まれやすい。規格に満たない野菜や果物、生花は「規格外」のレッテルを貼られる。多くの場合、たたき売る、畑に還す、廃棄される。行き場を失った農作物がフードロスと化す仕組みだ。
◎どがった個性は排除せよ
もともと完璧主義を好む日本人にとって、とがった個性は排除されやすい。生産性や安定性を求める生産者は、ことさら「平均点」が取れる農作物を目指してきた。見栄えの良い均質な農作物を収穫する目的で、F1種と呼ばれる人工交配された種が使用される。在来種や固定種のような強い味や香りの個性は失われるが、流通用の容姿がよく似た作物が育つ。そうした努力も虚しく、消費者の手に届かない規格外野菜が残念ながら存在している。
◎「ふぞろい」という商品価値
こうした中、「規格外=品質が良くない」イメージを覆す新潮流がある。いびつでふぞろいな形に商品価値を見出し、野菜の個性をセールスポイントにする販売手法だ。消費者の中にも「見た目にこだわらない」「味や品質に問題なければ買う」そうした寛容さが芽生えている。
◎食品のブランド価値って?
そもそも、食品のブランド価値はなにで決まるのだろう?産地、生産者、味、香り、オーガニック、カーボンニュートラルな生産方法…考えられる例は枚挙にいとまがない。
もちろん規格は必要な取り組みだ。生産農家さんを価格下落やクレーム、イメージダウンから守る、れっきとした役割が存在する。一方で、規格にがんじがらめになる必要もない。
規格外は、ダイバーシティ(多様性)だ。
ダイバーシティは、地球環境そのものだ。
生態系の保全は、持続可能な社会の実現に不可欠だ。
そう考えると、規格外は正義なのかもしれない。