イギリスに人種差別はあるの?
幸いにも私自身は、イギリスであからさまな差別を受けたことはありません。しかし、さまざまな民族や宗教の人々がともに暮らすイギリスでは、摩擦や格差、差別などの問題があるのは事実です。移民の受け入れについては常に課題となっています。
移民は、文化的・社会的な違いや言語の障壁に直面することがあります。高いスキルを持つ移民は、専門職や経営者として働く機会があり、高い収入を得ることができる場合がありますが、低賃金労働者は、経済的な不利益を抱えることがあります。
サッカーのプレミアリーグでの試合前の片膝ポーズなど、人種差別撤廃の意識はさらに高まっています。表現の方法についてもとても敏感です。数年前までは有色人種に対し、「Colored」と呼ぶべきだという時期がありましたが、現在ではそれは差別用語となっています。
現在は「People of color」が正しい呼び方とされています。また「Black」という呼び方は差別とされていた時期もありましたが、今は使用されています。この言い間違えひとつで会長職辞任に追い込まれるというケースもありました。言い方や文脈も大切だと思います。
現在は企業の採用時にも人種を質問する項目があったり、映画や広告ではさまざま人種のタレントを起用するなど、社会のあらゆる機会を平等にしようという動きがとても活発です。
移民の受け入れを厳しくするための法案の可決も難航しています。イギリスの政策は大胆で驚くことがあります。一方で受け入れを緩和することはとても理想的ですが、国内の治安や経済、費用の問題があるというのも理解できます。不法移民の入国をあっせんして稼ごうとする、悪徳業者が存在するというのも恐ろしい現実です。
安全で秩序ある正規の移住の確保を目指すために、国家を超えたグローバルな政策決定や協力が必要です。開発途上国の開発援助も欠かせません。私たちもひとごとではありません。社会はつながっています。小さなアクションでも、巡り巡って誰かの支えになるかもしれないのです。