Profile

株式会社Agriture(アグリチャー)
代表取締役
小島 怜(REI KOJIMA)

株式会社Agriture(アグリチャー) 代表取締役 小島怜

1998年京都府生まれ。
立命館大学在学中に学生仲間とWEB会社を設立。そのなかで乾燥野菜ブランド・OYAOYAを2020年11月に立ち上げる。大学卒業後の2022年8月、乾燥野菜ブランドOYAOYA、農作物ブランディング事業を行う会社を設立。

「OYAOYA」は、日本パッケージデザイン大賞入選、日本タイポブラフィ年鑑2022入賞。

野菜には市場で定められた「規格」があり、「規格外野菜」となると正規の価格で取引されず、廃棄されていることが多いといわれます。 そんな規格外野菜を使った乾燥野菜ブランドの事業を立ち上げたきっかけや今後についてお聞きしました。

ありそうでなかった便利な乾燥野菜

大学在学中に創業されたということですがどのような経緯があったのでしょうか?

小島さん:

就職活動時期がコロナ禍というのもあり、自分でもできるかなと思い始めたのがWEB事業でした。そのなかで販売し始めたのが規格外野菜を使った乾燥野菜「OYAOYA」です。
大学で農業を学んで、行き場のない規格外野菜を知り、最初はチップスとかにしようかなと思っていたのですが、知り合いの農家さんが乾燥野菜を作られているのを見て、「意外とありそうでない。そしてめちゃくちゃ便利でおいしかった」ので、商品化に取り組もうと思いました。

乾燥野菜は、半年間の日持ちがして、冷蔵庫を使わなくてもいいし、料理に入れるだけで、すぐに使えるだけでなく野菜の旨味が溢れて料理に深みも増します。
栄養価も高まるものもあり、生鮮野菜にはない、食感と味わいを楽しむことができます。
農家さんによって味の違いもわかります。

農家さんとお互いに利益がある良好な関係を築き、農業の存続にもつなげたい

商品開発にあたってのこだわりは?

小島さん:

添加物は使用せず、野菜の形が大きく残せています。そのままでも食べられますが、味付けはしてないので、おやつのチップスっていうよりかは、料理に使ってもらうほうがおいしいです。

仕入れる野菜は、誰からでも入れるとかではなく、15代続く農家さんだったり、料亭に出されているような野菜だったり、こだわりをもって生産されている農家さんから直接仕入れています。えぐみがでているものは避けるなど「おいしいと思えるもの」選ぶようにしています。

また、農家さんから仕入れる価格は基本的に言い値で買い取りします。形や大きさが不揃いであっても味は変わらないのでそれが適正な価格だと考えています。
「規格外だからと買い叩かずに、適正な価格で仕入れてもらいたい」ということは、農業をしている親友のおじいさんからも聞いていて、規格外野菜の適正価格を実現しようと思いました。
農家さんと良好な関係を築いて長くおつきあいできる事業であり続けたいし、農業の存続にもつなげたいと思っています。

規格外野菜と農業経営の課題について

規格外野菜だからと値段を安くして流通してしまうと、今度は形の良い規格品が購入されにくくなるという問題が起きます。
また直売所での販売は、価格競争が生じて利益が減少傾向。
直接ネット販売するには手間がかかり、農作業をしながらできる農家さんは限られてきます。

この現状で青果の状態で流通させるのは難しいため、加工食品のなかでも乾燥野菜として販売することで課題解決につなげていきたいと思います。

人気の商品は?京野菜の評判はいかがですか?

小島さん:

京野菜は現在5種類ありますが、京野菜関係なく買われる方が多いですね。
関東方面でネギの需要があり、九条ネギは使いやすということで結構出ています。
あとは玉ネギ、トマト、ほうれん草など料理にすぐ使えるものが人気です。

人気の玉ネギは、メロンのように甘いです。
乾燥機に入れて低温で約2日間ほどじっくりとドライにしています。
生で食べるよりもやわらかくて、甘い旨味、とろとろ&ふわふわ食感は、ほかでは味わえません。
ホームページでは乾燥野菜を使ったレシピを公開しています。

▲乾燥玉ねぎと聖護院大根のナポリタン。レシピはパスタ、サラダ、スイーツなど多彩に紹介。

パッケージはデザインの賞も受賞されていてカラフルで素敵ですね。

小島さん:

ギフト向けのパッケージも作り、これからギフトにも力を入れていこうと思っています。 直販以外では、京都の清水寺にあるお店、ニューヨークにあるお店などお店で取り扱ってくれるところも増えてきています。

今後の展開について

事業をされていて苦労している点はありますか?

小島さん:

乾燥野菜自体の認知度でしょうか。乾燥野菜は、常温で長期保存ができて、栄養価も増えて、使いたいときにすぐに使えるという、料理の素材としての魅力があります。災害時に備える食品としても使えます。
そのような利点を生かして、もう少し使い方のバリエーションを増やして提案したいと思っています。
これまでの和食だけの乾燥野菜のイメージを変わる、みなさんがテンションが上がるようなものを広めていきたいです。

▲風味も彩りも豊かな5種類もの乾燥野菜をミックスした「おつかれミックス」

今後はどのような展開を考えていますか?

小島さん:

大学で研究していた農家さんが、海外でフルーツやコーヒーなどの生産をされていて、乾燥野菜以外に新しいことを探ろうとはしています。
OYAOYAに関しては、既存の野菜の組み合わせをいろいろ増やしたり、大袋を作るなど考えています。

最後に、関心のあるSDGs、社会課題などはありますか?

小島さん:

SDGsの目標のなかでいうと、「働きがいも経済成長も」や「住み続けられるまちづくりを」といったところがあてはまるかなと思います。
「地方に行くと仕事がない」とか「賃金が高くない」みたいなことが思われがちですが、例えば提携しているラディッシュの農家さんだと、ラディッシュは小さく扱いやすいので、女性や高齢の方でも働きやすく、雇用も積極的にされています。農業を通じてそのような課題が解決できたらいいですね。

編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。