Profile

zeroplace合同会社
代表社員
島袋創平(SOUHEI SHIMABUKURO)
島袋綾香(AYAKA SHIMABUKURO)

zeroplace合同会社 代表社員 島袋 創平・綾香

島袋 創平:1991年 沖縄県生まれ。
琉球大学理学部数理科学科卒業後、産経新聞社、WeWork Japan 合同会社 を経て、2021年4月、妻である島袋綾香とzeroplace合同会社設立。主に経営戦略・経理・事業企画・営業などの業務を担当。

島袋 綾香:1992年 沖縄県生まれ。
琉球大学病院周産母子センター産科・NICU、市立吹田市民病院ベビー室で周産期のママ・パパたちのケアに従事。病棟、外来勤務にて約3,000組の母子に関わり、年間100件以上のお産に関わる。助産師資格のほか、看護師・保健師・思春期保健相談士の資格を持つ。zeroplace合同会社設立後、産後ケアなどの業務管理を行う。

2021年(令和3年)4月に「母子保健法の一部を改正する法律」が施行したことによって、自治体による産後ケア事業の拡充が求められるなか、独自の産後ケア専門施設をオープン。沖縄で開設に至った想いと今後についてお聞きしました。

開設のタイミングはやや強行突破

現在の事業をされるきっかけは何かあったのでしょうか?

創平さん:

私は前職のWe Work(シェアオフィス運営)でお客さんとして知り合った企業の方々の影響が大きいです。SDGsのコンサルティングされているDropさんをはじめ、現在のTSUNAGOODサイトの運営メンバーの方たちがSDGsに関連することをやり始めているのを見て、自身もソーシャルビジネスで社会に役立ちたいという想いがありました。

綾香さん:

私は産科で働いていたとき、出産後の育児に不安を感じていらっしゃる方が多いと感じていました。出産後の入院期間がだいたい5日から一週間ぐらいで、その間で育児の練習をして家に帰るという流れなんです。退院した後に相談できる先が少ないと日頃から感じていた中、産後ケアという取り組みを知ります。 そこを勉強したいと、大阪に行ったのがきっかけです。

大阪で実際に病院で産後ケアをしている中で、そこでもまた課題が見えてきました。 病院ではできない産後ケアをやりたいと感じて、自分で産後ケア施設を立ちあげることを決意しました。

ご夫婦でスタートしたいタイミングがぴったりだったんですね。トントン拍子に進んだのですか?

創平さん:

zeroplaceの主な事業内容である産後ケア事業は、厚生労働省が少子化対策の一環としている事業で、(「産後ケア事業」を位置づける)母子保健法の一部を改正する法律の施行が令和3年の4月でした。 (※母子保健法の一部を改正する法律により、市町村は産後ケア事業の実施に努めなければならないこととされた) 開始するその年に取り組み始めたほうがビジネスの観点で言うと、ブルーオーシャンのところなので、やるんだったら、もう初年度からやろうっていうところもあって…。 ちょっと無理やり始めた感じですかね。

出産後も「おしゃれなカフェでくつろぎたい」を実現させる

これまでにないものを開拓されたのですか?

創平さん:

産後ケア事業は、これまで病院などの医療施設で受けられるところは多くあったのですが、医療施設だとコロナもあって受け入れに制限がありました。 また、本事業の対象が1歳未満なのですが、0歳4ヶ月までしか受け入れられない施設も多くありました。

あとは産後ケア事業とは別で0歳児とママがくつろげる場所も作りたかったんです。子育て支援センターでも0歳児を連れて行けたりするのですが、未就学児みんな来れる、というところが多かったりするんですね。利用者様から0歳児を連れて行くのは不安というお声もありました。

そのため、これらをすべてを取っ払ってできるような産後ケア専門の施設を考えました。 産後ケアに、おしゃれなカフェラウンジを併設し、さらに気軽に訪れられる場所。産後ケアとカフェがある施設はおそらく初めてなんじゃないかなと思います。

やっぱりおしゃれなところに行きたいっていうのは、子ども産んでも産む前も同じだと思います。どうしても子どもと一緒だと泣いたらどうしようとか、そういうのを考えたら、行けなくなる。 気兼ねなく、ラウンジ併設のおしゃれなカフェに、赤ちゃんを連れていけるというのは、ニーズがあるのかなというところで考えましたね。

▲病院などの医療施設と違ってカフェのように気軽に訪れられる雰囲気

カフェラウンジの利用が一番多い

利用方法はどのようにするのでしょうか?

創平さん:

産後ケア事業という市町村から委託を受けている事業の利用に関しては、受託している市町村に、お住まいの方のみと限定されます。

産後ケア事業以外に、カフェラウンジスペースのサービス、一時預かりなどサービスなど何種類かありますが、それらのサービスはどこにお住まいでもお使い頂けます。

利用状況はどのような感じでしょうか?

綾香さん:

一番多い利用はカフェラウンジのスペースで、赤ちゃんを連れて休みに来たり、気分転換をしにくる方が多いかなと思います。 あとはコミュニティスペースとしても利用してもらっています。 沖縄県は離島県なので、県外から来られている方はなかなか地元に帰りにくいという現状もあるので、県外出身の方が人との出会いを求めてくるような場所になっています。

ふらっと普通のカフェみたいにきて使える一般利用と、週に1~2回、0歳児のママパパ向けのイベントや月齢会、医療従事者のママたちの会などを開いているんですけど、全部トータルすると月100~120組ぐらい来ていただいています。

その次に多いのは行政から委託を受けている事業、その次に一時預かりや乳房ケア、骨盤ケアなどいわゆるママのケアになります。

▲利用者の方々からは「こんなサービスがあってよかった」という声が多い

産後ケア事業やサービスは、周知されているのでしょうか?

創平さん:

まだあまり周知されているとはいえないと思います。zeroplaceとしての役割は産後ケア事業の認知拡大と、実際に産後ケアをやるという2つが、大きくやるべきことという認識で捉えています。そのため、このようなインタビューやメディアの露出をすることも積極的にして、産後ケア事業、産後ケアをやっているzeroplaceを社会にどんどん出していくというのは、私たちやるべきことの一つと思っています。

妊娠・育児について誰もが知れる、企業や行政が “子育て応援”に活用できるようにしたい

利用者の方からのご要望や感想はどのようなものですか?

綾香さん:

産後ケア事業に関して一番多いのは、「わかりやすく情報を発信して欲しい」「利用回数に制限があるため回数をもっと増やしてほしい」など、「もっと使いやすいものにしてほしい」というのが一番多い声かなとは思います。ただ、使っていただいた方は、皆さん本当にこんなサービスがあって良かったといってすごく満足してお帰りいただいています。 私たちとしても、妊娠・出産・育児に関わる方のみならず、これから経験するかもしれない方、もしくは男性の方にも出産、子育てについて悩みや不安、大変なことがあるっていうことも知っていただけるようにするなど、広く知ってもらう場所にしたいと思います。分かりやすく伝えるということが、ママ達にとってのニーズであり、私たちの課題かなと思っています。

企業との提携をされていますが今後もいろんな提携を考えられているのでしょうか?

創平さん:

看板に「zeroplace supported byネスカフェ」といれさせてもらっているネスレさんは、社会貢献活動のひとつとして、芦屋市役所の中で障害者の方を雇用するカフェを運営されています。知り合いがいたということもあるのですが、サポートを申しでてくださり、メディア露出や広告の部分などでお手伝いいただきました。

Yogibo(ヨギボー)の代理店をしているウェブシャークさんも、産後ケア事業の取り組みについて賛同いただき、協賛で商品をいくつかいただいています。

ネスレさんもウェブシャークさんも自社のメディアや他のメディアでも「産後ケア活動をしているzeroplaceにこのような協力をしました」とメディアで露出してくれるので、そのようなところで産後ケアを広めていけるというのもあります。

あとは、産後ケアの回数が少なかったり、基準があって、使える人と使えない人の差が出てきてしまっていて、その格差を埋めるために企業に福利厚生として産後ケアを使ってもらいたい。例えば行政、企業が半分ずつ費用を出して負担するということを進めていけたらと考えています。

社会全体の環境が子育て応援するを応援する空気になるように

最後に今後の目標があればお願いします。

創平さん:

沖縄県では11の市町村と委託契約を結んでいますが、まずは沖縄県で、あと4市町村ぐらいは増やしたいですね。 浦添市より南側の周辺の市町村にお住まいの方も全て使えるように、とりあえず委託件数を増やしたいです。

あとは、将来的な話になると思うんですけど、このzeroplaceで培ったノウハウとか、それをフレームワーク化して、全国どこでも産後ケアを受けられるようにしたいです。 実施したいという方は結構いるので、そういった方々がそんなに難しくなく、始められるお手伝いみたいのをできたらなと思います。

綾香さん:

助産師としては、まずは妊娠、出産、育児に関わる方々と、この方々を取り巻く社会全体の環境が子育てを応援する空気になるように頑張りたい。 ママたちは子育てがひと段落したら、社会に戻る職場復帰を考えていらっしゃる方が多い中で、子育てしながら働くことのハードルの高さを感じていらっしゃる方も多いと思います。子育てしている女性が働きやすい社会になるように、社会全体に産後も育児のサポートをするよという、空気を作りたいなというふうに考えています。

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編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。