多民族国家、イギリス
国内および国家間の不平等や、人種や民族、宗教、に基づく不平等を是正することもSDGsの目標のうちのひとつです。移民の問題を解決するには国家間の不平等を減らしていく努力も欠かせません。さまざまな民族の人々が暮らすイギリス。移民については一言では結論づけることのできない、とても複雑な課題です。
そもそも日本ではまとめて「イギリス」と呼ばれていますが、イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国から形成されています。フランスによる征服、イングランドからのウェールズとスコットランドへの侵攻、そしてドイツからの侵入など、イギリスは長い歴史の中で侵略、征服、統合などを繰り返し、さまざまな民族から成り立っている国です。
そして現代では、イギリス旧植民地時代のインド、アフリカ、アラブからの移民も多く、2011年の国勢調査では、ロンドンの人口の44.9%のみが白人イギリス人、それ以外は移民であると言われています。
イギリスで暮らしていると、さまざまな民族や宗教の人たちをよく見かけます。居住エリアが分かれ、同じ民族や宗教のコミュニティを作って暮らしている人々もいますし、そうではなく、イギリス人の居住エリアに混ざって暮らす人々もいます。
コミュニティのなかには、その民族や宗教の人々のためのスーパーなどもあります。車でそれぞれのコミュニティを通るときは、違う国に来たかのような感覚になります。彼らの文化で街が作られています。
私も移民のひとりとして、母国ではない国での暮らしの難しさを実感しています。母国で暮らせない理由があってイギリスに来ている人々は、自分たちの生活を作っていくことに必死だと思います。一方でイギリスの人々もみんなが十分に余裕のある暮らしをしているわけではありません。
摩擦が起こることは自然なことなのかもしれません。とても大きすぎる課題なので、個人でアクションを起こすのは難しいですが、さまざまな暮らしを尊重する気持ちを忘れないようにしたいと思っています。