SDGs特選コラムNo. 26

SDGsの目標達成に外せないプラスチック問題は健康問題もあり

プラスチックは、ごみになる前でも問題が懸念されています。SDGsの目標のなかで、ゴミ問題全般にかかわるのは「12.つくる責任、つかう責任」、廃棄しきれないプラスチックがあふれ、マイクロチップとなって海中に溶け込んでいる問題は「14.海の豊かさを守ろう」に関わり、焼却する際に大気を汚染する懸念は陸地全体の「15.陸の豊かさも守ろう」にもあてはまります。

さらに、陸地にいる人への影響です。私たちは、プラスチックから溶出する化学物質を取り込み続けており、それが有害であるかもしれないという問題。これは「3.すべての人に健康と福祉を」にも関わり、健康を阻害するものを取り除くことも含まれるでしょう。

健康問題にかかわるプラスチック製品

よく取り上げられているのが、プラスチックを柔らかくするために使用される「フタル酸エステル類」やポリマーを安定する添加剤、ビスフェノールA(BPA)。生殖機能を損なわせる内分泌かく乱作用(環境ホルモン)や発がん性の可能性があるといわれます。検証は研究機関によって見解が異なり、動物実験では影響が実証されていますが、人体には許容範囲というのが一般的となっています。しかし、成人と比べて、胎児や乳幼児は、代謝能力や免疫系が低いことから、予防措置として、ビスフェノールA(BPA)が含まれるポリカーボネート製のほ乳びんは、中国やEU、カナダでは使用禁止となっています。

国内では、「公衆衛生の見地からは、ビスフェノールAの曝露(ばくろ)をできる限り減らすことが適当であり、関係事業者に対して製品の更なる技術改良を行う等、自主的な取組を更に推進していくように要請しています。(厚生労働省)」と、企業の自主的な自粛を進めています。

溶け出す可能性のあるものに注意

また、缶詰容器の内側には、金属腐食を防止に、ビスフェノールAを原料とするエポキシ樹脂を塗装がされているものが多くあり、「妊娠されている方がこのような缶詰食品を多く摂取することにより、胎児がビスフェノールAに曝露する可能性があります。(厚生労働省)」と、注意をうながしています。「フタル酸エステル類」は、ポリ塩化ビニル(塩ビ、PVC)に使用され、製品でわかりやすいのはフィギュアといわれる柔らかいおもちゃの人形、ソフビ。子ども用のおもちゃ、食品がふれる容器などは、国内でもポリ塩化ビニルの使用は制限されています。消しゴムもPVC製が今だ多く販売されています。

ほかにも、フタル酸エステルが溶出する恐れがあるものは、食品容器・包装フィルムなど日用品のほか、合成皮革、ラップフィルム、住宅用壁紙、フリースやPVC製の衣服など、避けようがないほどあふれています。プラスチックごみが海から陸から回りまわって人が摂取する以前にも、製品の使用中に溶け出して、普段の生活で取り込んでいます。

最近では、プラスチック代替品となる製品も多くみられるようになりました。人工的な化合物は、何でできていて、環境や人にどのような影響があるか、知る方法は簡単ではありません。「つかう責任」としては、シンプルに何で作られているかがわかり、自分も知っているものをできるだけ選んでいくことが「責任」のひとつのように感じられます。

参考資料

2020年9月調べ

厚生労働省食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03520390482

厚生労働省食品安全部基準審査課
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。

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