水の大切さ|バーチャルウォーターについて知ろう!
「日本は、水資源が豊かである」
「水に不自由なく、生活できている」
蛇口からはいつでも清潔な水が飲めるし、飲料水もたくさん売られています。日本にいて「水に困る」というイメージはほとんどないでしょう。しかし、日本は世界と比べても水資源が少ない国の一つです。ですが、水も食料も充実していますよね。
なぜこのようなギャップが生まれるのでしょうか?それはバーチャルウォーターという見えない水が関係しています!
バーチャルウォーターとは
直訳すると、バーチャル(仮想)ウォーター(水)になります。では、仮想の水とはどんなものか。
食料を輸入している国(ここでは日本)が、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを割り出したものです。日本は、食料に使用する水資源の多くを、輸入に頼っていることから「世界最大の仮想水輸入国」とも言われているのです!
水が使われる例
スーパーやコンビニでも、輸入された食料品を至る所で目にしませんか?例えば、バナナは海外の物だったり、ブラジル産のお肉が置いてあるのを見たことがあるでしょう。これらは、日本では作られておらず、海外で生産された物が日本で売られています。
具体的に、お肉を例にして説明しましょう。
【お肉がスーパーで売られるまでの流れ】をみると、下記のようになります。
- 家畜の餌になるとうもろこしや小麦を育てる→食物を育てるために水を使う
- 家畜を育てるために、水や餌になる飼料をあげる→生き物を育てるために水を使う
- 加工場で生肉にする→衛生管理などで清掃するなどで水を使う
- ようやくスーパーにお肉が並び購入できる
このようにお肉が売られるまで、飼料や飼育に大量の水を使い、さらに加工される工程でも水は使われているのが分かりますね。
日本は水資源が少なく、食料自給率も低い
日本はインフラがかなり整っているのもあり、普段生活していて水不足に困ることはあまりないでしょう。しかし、実際に使える水はわずかしかなく、たびたび各地域で水不足の被害が起こっていることが報告されます。また、現在の日本の食料自給率は40%ほど。言い換えると残りの約60%を輸入に頼って食料を賄っているということですね。
これが「世界最大の仮想水輸入国」と言われる所以です。
バーチャルウォーターの問題点
日本は輸入に頼っていることが分かりましたが、これにはどんな問題があるのでしょうか。
「海外から食べ物が入ってくるから良くないか?」
そう思われますが、もし、海外でかんばつや災害が起こり、食料が作られなくなったとしたらどうでしょうか。その国自体も食糧難に陥りますし、ましてや海外に輸出することも不可能でしょう。そうなると、日本に入ってくる食料が激減することになります。仮に輸入できたとしても、金額の高騰などの影響が出るなど、輸入に頼るということは大きいリスクが生まれるでしょう。
そう考えると輸入に依存することなく、自給自足や地産地消を活用して行動していきたいですね。水資源は有限なので、節水にも今一度注目していきましょう!
バーチャルウォーターを計算してみよう!
実際に水がどれくらい必要で、もの物に使われているのか分からないとバーチャルウォーターのイメージもつかないですよね。そこで、環境省が出している仮想水計算機で簡単にバーチャルウォーターの計算ができますよ!
こちらでは、牛丼とコーヒーのバーチャルウォーターを計算してみました。
・牛肉1杯で、約1890リットル(500mlのペットボトル3,780本分!!) ・コーヒー1杯に、約210リットル(500mlのペットボトル420本分!!) |
いつも何気なく食べている物が、こんなに水が使われているということに驚きませんか!??
私たちが大量に輸入品を消費すればするほど、バーチャルウォーターの数値も上がり、海外の水を使いまくることになるでしょう。それにより、海外では地下水が枯渇したり、水が汚染したりと問題が起こっていることも覚えておいてください。
安全な水をいつまでも
このように「物」が出来上がるまで「水」は切っても切り離せない存在ですね。世界の一部では、安全な水を確保するのが難しかったり、衛生的な環境がなく健康被害も出ています。
私たちの豊かな生活は、遠い海外の水を多く使っていることを忘れずに、日々の買い物や水の使い方を見直していき、世界の人々みんなが安全な水を使えるように考えていきましょう!