『もう使えなくなった』がスタート、スポーツ用品リサイクルの可能性
スポーツ界では様々な道具が利用されていますが、衝撃の強さなどから短期間で摩耗したり競技としては使えなくなってしまうものが多くあります。
今回の記事では、野球グローブやテニスボールが再利用されることで、資源の有効活用や環境保全に貢献している事例をご紹介します。
SDGsの達成に向けたスポーツ界の積極的なアプローチを、リサイクルの取り組みを通じてみていきましょう。
使用済みテニスで子どもの学習効率アップ
日本プロテニス協会(JPTA)は、社会貢献活動の一環として、使用済みのテニスボールを学校や介護施設などに再利用する「ボールリユース活動」を実施しています。
ボールリユース活動は、テニスボールの使用頻度により、約2ヶ月ごとに交換される現状を背景に、使えなくなったボールが新たな価値を持って社会に還元される素晴らしい例です。
JPTAは、テニス関係者と全国の学校や社会福祉施設などのボールの提供をマッチングする役割を担います。
2019年10月から2021年9月の2年間で、約500校の学校へ約24万個のボールが提供されました。ボールは、教室の机や椅子の足に取り付けることで、騒音の緩和に役立ち、より静かで集中しやすい学習環境に役立つというものです。
実際に、補聴器を使用する子供のストレス緩和や、学習効率の向上に貢献しているといった報告が出ています。
ボールの取り付けは、受けとった団体や個人が行う必要がありますが、ボールを固定する方法を工夫すれば、カッター1つでできます。
もし、実際に行いたい場合は、テニスボールに十字の切り込みを入れる作業や、ボール内部の液体(窒素ガスを発生させた後に残る食塩水)がある場合は事前に取り除くなどのコツがあるのでJPTAのHPを確認しましょう。
ボールを集めるには配送料等も必要になるため、東京都内のある小学校では、教頭先生自らが車で約10,000個のボールを集めて回り、学校で有効利用した事例もあります。介護事業所でも、ボールを利用することで介助負担の軽減が可能になっており、地域のテニス関係者との繋がりが深まるなど、多大な社会的効果を生んでいます。
野球グローブも持続可能に
グローバルポーターズ株式会社が展開する「グローブ再生工房Re-Birth」は、野球グローブの買取、再生、修理、加工、および思い出リメイクを行う事業です。
具体的なサービスとしては、グローブのデザインリメイク、フルリメイク、硬式対応アップグレード、思い出リメイク加工などがあります。
グローブのリサイクルは、野球選手が愛着のあるグローブを長く使い続けることができ、資源の有効活用にもなります。
また、新品同様の状態に再生することで、新たなプレイヤーに安価で引き継ぐこともできます。特に少年期などに金銭的な理由で野球用品を揃えられない選手などが、プレー機会を得られやすい環境づくりにも一役かうことができます。
まとめ
スポーツ界における使用済み用品のリサイクルは、資源の有効活用と環境保全の観点から注目を集めています。
グローブやボールなど、一度は使命を終えたと思われた用品が再生され、新たな価値を生み出します。
リサイクルの取り組みは、持続可能な社会を目指す上で貴重な事例となり、私たちはより環境に優しいスポーツ活動が続けられることになるでしょう。