マイレビューNo. 1111

働きたくても働けない。暑さがもたらす経済損失とは…

こんにちは。SDGsを経済的な観点から捉えていて記事をUPしています。eSです。

熱ストレスによる世界の労働損失はすでに年間で約6700億ドルと推察されています。アメリカの研究チームは、暑さによる働き手への影響をまとめたものを英科学誌で発表しました。この発表の中で、気温が産業革命前より2度上がると労働損失は1.6兆ドルに膨らむとのことです。

猛烈な酷暑となった2024年の夏、工事などを請け負う大成建設は、気温が31度を超えると作業員の顔色を見て早めに昼休憩を開始したり、昼休みをいつもの倍の2時間にして休憩に充てる日も多かったとして、作業の遅れに対応するため工期延長を発注者の東京都と協議し続けています。通常の作業時間は8時間程度だそうですが、この夏は5.5時間にとどまる日も多々あったということです。

このような事態は日本だけではなく、猛暑が続いたドイツの建設現場も同様です。今夏は、暑さ対策で通常より1時間早い午前6時から工事を始めるようにし、気温が最も高い午後1~2時は作業を制限するようにしたとの報告があります。全ては作業員の安全のための選択と判断だそうです。

そのような取り組みの中でも、すべてを防げたわけではありません。どれだけの作業員が健康的な被害を受けたのか…国際労働機関の報告書を参照にレビューして行きたいと思います。2000年以降に熱ストレスによる労働災害が増えた地域をまとめたものによると、最も増えたのは南北アメリカで33.3%増、そして欧州・中央アジアが16.4%増でした。国際労働機関は暑さの影響で2030年にフルタイムで働く8000万人分の労働力を失う可能性があると分析していました。

これによって世界各地で働き手の暑さ対策が急務になっています。建築現場だけでなく、物流の長距離ドライバーの熱中症による事故が相次いでいるアメリカは、2024年以降、新しい小包配送車には全てエアコンを装備するなど対策をとる方針を決めたそうです。これの投資額は年4億900万ドル以上になるようです。

2050年の建設現場での未来予測は、鉄筋は目玉焼きができるほどの熱を持ち、気候変動により頻発する豪雨でコンクリートも乾かないことも珍しくなく、作業は3日以上止まることもしばしば。だと言われています。宅配会社に関しての予測はドライバーの安全に配慮して、完全に昼の時間帯でも配達指定を取りやめなければならなくなります。これはただの警告予測なのか、それとも近い将来現実に起こるのでしょうか。

現実的には2023年は全世界で5000億時間の労働機会が失われたとの報告があり、日本では約22億時間の労働機会が失われたといいます。

「働く時間がみるみる制限されている」働きたくても働けない。特に大ダメージを受けるのは、気候変動や温暖化の影響を大きく受けるアジアやアフリカなどでは、働けないだけではなく、暑さで命を奪われる問題も抱えています。途上国はさらに国の労働力に影を落とすことでGDPは1年間で7.6%分の労働力を失ったと分析しています。

急務に求められるとは言え、全く変わらない地球の問題。毎年毎年酷くなるばかりの専門家による報告。安息の地を地球の中で探すことが不可能にならないよう、SDGsの取り組みにさらに一丸となりたいと思う気持ちが大きくなりました。

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