知ってた?食品表示の「小麦粉(国内製造)」ってどういう意味?

夏の定番、つるっとおいしいそうめん。簡単に作れるから好きでよく食べてました。しかしある日、友人から「小麦粉(国内製造)は国産とは限らないよ」と聞いて、近くのスーパーのそうめんの袋の裏にある原材料表示を見てみたら、すべて「小麦粉(国内製造)」だったのです。「国内」と書いてあると何となく安心してしまっていたのでショックでした。みなさんは原材料の表示をじっくり見たことありますか?
そうめんに限ったことではなく、「小麦粉(国内製造)」という一文はいろんな加工食品で見かけます。
(国内製造)と表示されるのは小麦粉だけではありませんが、今回は筆者が好きなそうめんに使われる小麦粉の表示について
知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
「(国内製造)」って、国産小麦100%ってことじゃないの?

結論から言うと、「(国内製造)」と書かれていても、100%国産の小麦粉を使っているとは限りません。
筆者も「え、そうなの!?」って思いました。
この表記、多くの人が「日本で作られた小麦を使っているんだな」と勘違いしがちですが、そうではないんです。
知っておきたい!原材料表示のルール
日本の食品表示法には、原材料の生産国に関するルールがあります。
「国内製造」という表示は、「日本国内で最終的に加工・製造された」ことを意味します。つまり、海外から輸入した小麦を日本国内の工場で小麦粉に加工した場合でも、「小麦粉(国内製造)」と表示できるのです。
もちろん、日本で生産された小麦を使っている場合も「国内製造」と表記されます。でも、これだけだとどちらの小麦なのか、消費者には区別がつきません。
なぜ、わざわざ分かりにくい表記になっているの?
これは、日本の食品メーカーが抱える事情が関係しています。
現在、日本で流通している小麦の約90%は外国産です。国産小麦は流通量が少なく、価格も高い傾向にあります。そのため、多くの食品メーカーは、価格を抑えるために外国産小麦を使用しています。
もし、すべての食品に「輸入小麦使用」と表示しなければならないとなると、消費者の外国産小麦に対する不安が高まり、売り上げに影響する可能性があります。そこで、消費者庁は、加工された国を示す「国内製造」という表示を認めているのです。
つまり、「(国内製造)」という表示は、消費者に不安を与えないようにしつつ、外国産小麦を使用している可能性を残す、ある種の「グレーゾーン」と言えるでしょう。
輸入小麦は、一体何が不安なの?

「外国産小麦って、何が問題なの?」と思う人もいるでしょう。ここでは、輸入小麦が抱えるいくつかの課題について解説します。
1. ポストハーベスト農薬
ポストハーベストとは、収穫(ハーベスト)の後のことです。外国産小麦は、日本に輸送される過程で、カビや害虫の発生を防ぐために、収穫後に「ポストハーベスト農薬」が散布されることがあります。
日本国内では、収穫後の農薬散布は原則禁止されています。しかし、輸入農産物については、使用が認められている農薬の種類や残留基準が定められています。
健康への直接的な影響については、国の基準値が守られている限り問題ないとされていますが、農薬の使用自体に抵抗を感じる人も少なくありません。
2. グリホサート(除草剤)
輸入小麦の中には、収穫を均一化させる目的で、収穫直前に「グリホサート」という除草剤が散布されるケースがあります。これは、小麦の葉や茎を枯らすことで、収穫作業を効率化するためです。
グリホサートは、世界保健機関(WHO)によって「おそらく発がん性がある」と分類されています。これについても、日本では残留基準値が設けられていますが、体に蓄積されることや、長期的な影響を不安に思う声があります。
3. 品質の管理基準
外国産小麦は、広大な農地で大量生産されるため、品質の管理基準が国によって異なります。日本のような細やかな品質管理が徹底されていない場合もあり、その点も不安要素の一つです。
もちろん、すべての輸入小麦が悪いわけではありません。安全基準をクリアし、高品質な小麦もたくさんあります。しかし、「国内製造」の表示だけでは、どのような管理のもとで生産された小麦なのか、判断することは難しいのです。
国産小麦を使った食品を選ぶためには?
ここまで読んで、「やっぱり、安心して食べられる国産小麦の商品を選びたい」という人も多いかもしれません。国産小麦の商品を見つける方法としては、商品のパッケージやホームページに「国産小麦100%使用」と明記しているものが確実です。
筆者の近くのスーパーには残念ながらひとつも見つかりませんでした。スーパーでは価格が安めのものでないと売れないのかもしれません。
インターネットの通販では国産小麦を100%使用しているそうめんメーカーが見つかります。ただし贈答用が多いですね。食べてみたいと思ったものを3つピックアップしてご紹介します。みなさんが気になったものはありますか?
半田そうめん「久遠(くおん)」
徳島県美馬産小麦粉100%、徳島県鳴門産「うず塩」100%、徳島県産えごま油100%という原材料全てが徳島県産という貴重な逸品。麺を巻いている紙も徳島県の伝統産業「阿波和紙」を使うというこだわりぶり。
https://shop.tenobemen.com/items/62274087
三輪素麺池利
創業嘉永3年(1850年)より代々受け継がれている伝統あるメーカー。一部の商品が国産小麦で、極細で繊細な印象ながらコシはしっかり。なめらかで上品な食感と評価が高い。
https://ikerishop.com/SHOP/n-30r.html?srsltid=AfmBOoo7728SUVz0PHq_dMHSCiAydnhINloP2FAlfZj5ZkhI1pch4ALZ
そうめんの山道
ホームページには、「そうめん(金帯・紫帯・黒帯)、うどん全ての商品に国産小麦を使用しています。素材で7割が決まります。」と書かれており、国産小麦のこだわりがうかがえる。
https://www.shimabara-soumen.com/category/1572539.html
まとめ

普段何気なく食べているそうめん。その原材料表示には、意外な事実が隠されていることが分かりました。
「小麦粉(国内製造)」=「国産小麦100%」ではない。
このことを頭の片隅に置いておくだけで、食品選びの視点が少し変わるかもしれません。
自分にとって、安心で納得できる食品を選ぶための第一歩として、まずはスーパーでそうめんのパッケージをチェックしてみてください。












