SDGs特選コラムNo. 14

SDGs達成のテーマがいくつも含まれる「コットン」事情

SDGsの「14.海の豊かさを守ろう」に関連するマイクロプラスチック問題。ペットボトルのみならず、ポリエステル、アクリル、フリースなど石油を原料とした合成繊維がマイクロプラスチックの発生源となっているとして、アパレル業界でのSDGsの取り組みが注目されています。

海洋汚染防止のために、従来からある天然素材の衣料に切り替えようと思われている人も増えてきているのではないでしょうか。

天然素材のなかで、世界的に最も生産量の多いのがコットン(綿)。吸水性・通気性に優れ、Tシャツ、アンダーウェア、シーツなど幅広く使用され、季節に関係なく使用することが多い素材です。

地球にやさしく、肌にもやさしいコットンですが、生産過程においてはSDGsに関わる問題が「やさしい」とはいえません。

SDGsの「8.働きがいも経済成長も」「10.人や国の不平等をなくそう」「16.平和と公正をすべての人に」にあてはまる「劣悪な労働環境と人権侵害」があります。

世界の綿花生産量ランキング(参照/2018年FAO)は、1位中国、2位インド、3位アメリカ。

2位のインドにはさまざまな問題があります。貧困に苦しむ多くの農家が有害な農薬を使用し、幼い子どもたちが働いています。子どもたちは学校へ行けず、安い労働賃金で、農薬による健康被害にあっています。

コットンの生産には大量の農薬を使用しているのがほとんど

農薬を使用しない有機農法のオーガニックコットンは、世界のコットン生産量のわずか1%にも満たないほど。コットンの生産において大量に農薬が使用されています。

1位の中国については、ウイグル人強制労働が世界的にも非難を浴びています。中国産コットンの8割以上がウイグル自治区で生産、ウイグル人労働者たちが中国当局の監視下で過酷な労働条件を強いられているといいます。

世界の大手アパレルメーカーの製品が、強制労働のウイグル人が生産したコットンを使用しているという話もあります。
・参考ニュース記事「Newsweek日本版」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13477.php

海外のコットン製品プロセスについて知ることは難しいかもしれませんが、ただ「安いから」というだけで選ぶことは、生産者と地球環境にとって「安全」でなくなるかもしれません。

国産のコットンに注目

一方、国内に目を向けると、日本産のコットン自給率はほぼ0%。製造過程が複雑なコットン製品をほぼ手にしているといえます。

日本独自の「綿」の栽培、製品化のはまだまだ数少ないながら、安全な「オーガニックコットン」製品として注目されています。
(2020年8月調べ。リンクが削除されている場合があります)

・ふくしまオーガニックコットン・プロジェクト
https://npo-thepeople.com/organic-cotton-pt/

・しまなみコットンファーム
http://www.shimanami-cotton.co.jp/

・マインド熊本
https://kyo-no-atelier.com/398/

今後の地域産業として目指しているところもあり、日本産の「オーガニックコットン」がSDGsの達成のアイデアとしても考えられると思います。

編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。

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