聞いたことある?もっと知って欲しいゴーストギアについて
海洋プラスチック問題は、すでに多くの人が耳にしている環境問題です。プラスチックと聞くと、ビニール袋やペットボトルなど身近な商品を思い浮かべますよね。しかし、海洋プラスチック問題の中の一部では、ゴーストギアによるゴミも問題になっています。
ゴーストギアって何?
聞き慣れない言葉のゴーストギア。これは、海に流出してしまった、漁具や魚網・釣り糸や釣り針などのことです。幽霊のように海に漂っているので、ゴーストギア(漁具の幽霊)とたとえられています。
一般的に、漁具や魚網は身近な存在ではありません。ですが、私たちの食卓に上がる海産物は、漁業関係者が仕事をしているからこそ手に入る食材です。しかしその裏側で、漁具や魚網のなどが環境問題や、海洋生物の命に深刻な被害を与えています。
どれくらいゴーストギアは捨てられている?
ゴーストギアは、年間50〜100万トンも海に流出していると言われています。家庭ゴミであるプラスチックは、劣化は早いですがマイクロプラスチックとして細かくなっても存在し続けます。一方で、魚具や魚網のようなプラスチック製品は、耐久性がありすぐに劣化するものではありません。長い年月、海を漂い続けていき、サンゴや藻を傷つけたり、多くの海洋生物の命を奪っているのが現状です。
どうしてゴーストギアがでるのか
ゴーストギアとして海に流出してしまう原因はいくつかあります。
紛失や放置による流出
作業中に絡まって紛失してしまったり、釣具が切れたなどの場合です。また港に山積みにされた古くなった魚網を放置したままにして、風や波にさらわれて海に流出するパターンもあります。これらは、対策を考えていけば防ぐことはできるでしょう。
違法に廃棄・投棄
許される行為ではありませんが、漁業関係者が捨てたり、乱獲を隠すために投棄する問題が発生しています。こちらは、根本的な原因を考慮し、対処する必要がありますね。
ゴーストギアは経済的損失が大きい
漁業に携わっていない限り、漁具や魚網は他人事のように感じますが、巡り巡って私たちの身の回りにも影響を及ぼします。
観光資源の損失
美しい海が広がる地球は、全体の70%を海が占めています。その壮大な海の近くには、多くの観光名所もあり人々の癒しをくれます。しかし、砂浜に朽ち果てた魚具や魚網が打ち上げられていたら、自然の景観を壊してしまいますね。
貴重な野生生物の損失
海の中で漂う魚網は、無意味に海洋生物を捕獲し続ける状況にあります。無駄に命を奪い続けるゴーストギアの存在は、見過ごすことのできない問題です。
人や船の安全性も損失
そして、何よりも漁業に携わる人の安全も危険に晒します。船の運航を妨げたり、遅延させるだけでなく、事故に繋がれば命や怪我のリスクも高くなるでしょう。
海洋生物が犠牲に
ゴーストギアの存在により、多くの犠牲がでているのが海洋生物です。罪のないウミガメやアザラシ、海鳥などが、ゴーストギアにより身動きが取れなくなってしまい、長い間苦しんで死んでしまう悲しい出来事が日々続いています。さらに、サンゴやイソギンチャクのような海底に植生する生き物を破壊することで、その付近に住む生態系の居場所を奪ってしまいます。生態系が変われば、必ずどこかで私たちにもその影響は出てきます。
まとめ
プラスチック問題は耳にしていても、ゴーストギアが大きな問題になっていることはあまり知られていないのが現状です。私はよく海辺を散歩しますが、一部の海岸はとても綺麗なのに、人気のない浜辺にはゴーストギアが打ち上がったり、プラゴミが溜まっている場所も多々あります。このゴミを放置すれば、また海に流出して被害を広げてしまうでしょう。
ゴーストギアは、世界規模の漁業関係者や組織が絡んでおり、とても複雑な問題です。ですが、私たちが出来ることとして、日々の生活のプラごみ削減や、ビーチクリーンなどさらなる被害を食い止めることはできます。いろんな視点で問題が上がっていることを理解しておくこともとても大切なことでしょう。