人権侵害をなくしブランドイメージを高めるのか…それとも?
こんにちは。SDGsを経済的な観点から捉えていて記事をUPしています。eSです。
日本ではまだ法律化されていませんが“人権デューデリジェンス“という言葉をご存知でしょうか?
世界的に取り組まれているもので欧米などでは法律の線も明確に設置されています。
“人権デューデリジェンス“(Human Rights Due Diligence)は、人権侵害を防ぐために採るべき措置を実施するプロセスを指します。
これは、企業の社会的責任(CSR)やサステナビリティに関連して重要な考え方です。その企業の従業員だけにとどまらず、サプライチェーンや取引先も含まれますし、顧客やコミュニティなど、すべてのステークホルダーの人権を尊重し、保護するために企業が責任を果たす責任として位置付けられているものです。
具体的に落とし込んでいくと、労働条件、環境影響、製品の安全性など、ビジネスやモノづくりに関連するすべての面において人権に対するリスクを評価し、どこに問題があるか本質的な部分をあかるみにする必要があります。人権デューデリジェンスは、法的な要件に基づいて行われています。
企業全体で人権侵害を防ぎ、持続可能なビジネス実践や経営を促進するために役立てるツールともなっています。
なぜそう言えるのかというと、モノづくりや企業のあり方においてこの部分に対して消極的だったり全く無視しているといくら良いものを作っていたとしても、企業価値やブランドイメージに直結してくるからです。
そもそも起点となったのは、2011年の国連の人権理事会にて“ビジネスと人権に関する原則“を承認したことです。遡ること1990年代後半に注目を集めた、ナイキの児童労働問題を例にあげてみます。当時のナイキは、東南アジアの工場で悪質な環境下や劣悪な長時間労働、また児童労働があると報道されて発覚。
世界的にこのことは報じられ、不買運動につながりました。
経営に大打撃を受けたナイキは、サプライチェーンに対しても人権遵守に取り組むようになりました。そこから主にファストファッション。そしてタバコ製品、チョコレート、パーム油、といった生産をめぐり児童労働や劣悪な労働環境が指摘されるようにもなりました。
では単純に人権デューリジェンスを追求するために、リスクのある貧困地域の国からどんどん企業が撤退すればいいのでしょうか。それともそのような国の人を雇わなければいいのでしょうか?
それほど単純ではないから難しいですよね。日本においては一般的に関心すら低い分野になるのでなかなか表面化されないこともありますし、評価の対象にもならない難しい分野です。
私たちが一人一人できることは、関心を持つこと。関心を持つためにできることは“知ること“です。言葉の意味や歴史的背景。そして世界の動向から日本、地域に落として考えていく。そう言った広い視野といつでも学ぼうとする意欲。それが世界を変えていく大きな力になると信じています。