箱根の温泉旅館が挑む新しい滞在スタイル！清掃不要で割引、人手不足と環境問題に一石

神奈川県箱根で5つの旅館と3つの飲食店を運営する株式会社金乃竹は、連泊のお客様向けに画期的なシステム『Skip制度』を導入。これは、滞在中の客室清掃を希望しないお客様に対し、館内施設やグループ飲食店で利用できる割引チケットを提供するというもの。2024年12月より本格的にスタートしたこの制度は、すでに約4割のお客様に利用されており、人手不足の解消と環境負荷の低減に貢献するとして注目を集めている。

利用者の約4割が「清掃不要」を選択！『Skip制度』の驚きの効果

『Skip制度』は、2024年9月から「金乃竹塔ノ澤」と「Hotel 坐樂閑」で試験的に導入されており、その検証期間中、連泊された598組のお客様のうち、なんと38％にあたる227組が清掃を希望しなかったという結果になった。

制度を利用したお客様からは「SDGsへの取り組みに賛同する」といった好意的な声が多く寄せられ、満足度も高いことが伺えた。さらに、清掃スタッフの労働時間は25％も削減され、その時間を普段手の届かない箇所の清掃や、チェックイン・アウトのお客様への丁寧な対応に充てることが可能になるなど、業務効率の大幅な向上に。

現場のサービススタッフからも「お客様とのコミュニケーション時間が増え、より深い信頼関係を築けるようになった」という声が上がっており、単なる効率化だけでなく、サービスの質の向上にも貢献していることがわかった。

『Skip制度』で得られる3つのメリット

この『Skip制度』は、お客様、企業、そして地球環境にとって、それぞれ以下のようなメリットがあるという。

顧客満足度の向上: 割引チケットを利用して、通常よりもお得に館内施設やグループの飲食店での体験を楽しめる。
スタッフの人手不足の解消: 清掃業務の効率化により、限られた人員でも質の高いサービス提供が可能に。
地球環境保全への貢献: 清掃に伴うCO2排出量、水資源の消費、電力使用量、廃棄物などを削減できる。

金乃竹は、この取り組みを「お客様」「企業」「環境」にとって良い「三方良し」の施策と捉え、持続可能な社会の実現を目指している。

なぜ『Skip制度』が生まれたのか？導入の背景

「金乃竹塔ノ澤」は、「サービス・空間・環境すべてに線を引かないノーラインリゾート」をコンセプトに、箱根の豊かな自然を満喫できる施設。近年、増加傾向にあるインバウンド客の連泊需要に着目し、滞在中の清掃を減らすことが環境負荷の軽減に繋がるのではないかと考えたことが、『Skip制度』導入のきっかけになったという。

この制度は、持続可能な観光業への貢献だけでなく、清掃時間の短縮によるスタッフの負担軽減、ひいては宿泊業界全体が抱える人手不足問題への貢献も期待されている。

環境への配慮と顧客体験価値の向上を両立

清掃を省略することでお客様の体験価値が損なわれないよう、金乃竹は割引チケットという形で新たな価値を提供。館内のスパや鉄板焼、オプション料理などを気軽に楽しむことができるため、お客様にとってもメリットのある仕組みとなっている。

『Skip制度』概要

清掃内容	チケット金額
完全清掃なし	2,000円分
タオル交換＋ごみ捨てのみ	1,000円分
タオル交換＋ごみ捨て＋客室冷蔵庫補充（グラス類含む）のみ	500円分

割引チケット対象商品・サービス

売店商品
ドリンクや特別注文料理
The Moon SPA（金乃竹塔ノ澤併設）
プール水着のレンタル料金
レイトチェックアウト
金乃竹グループ運営の飲食店：寿し笙・鉄板焼禅・Cafe Dining LÜDERA（Hotel 坐樂閑で提供されたチケットのみ利用可能） ※お会計時に割引

今後の展望：さらなる拡大へ

金乃竹リゾートは、今回の検証結果を踏まえ、『Skip制度』を他の施設にも導入し、より多くのお客様に利用してもらうことで、環境保全への貢献をさらに推進していく考え。

金乃竹リゾートの多岐にわたるSDGsへの取り組み

『Skip制度』以外にも、金乃竹リゾートは様々なSDGsへの取り組みを行っている。グループのシンボルである「竹」を活用したアメニティの導入や、竹灯篭づくり体験といったアクティビティの提供。また、スパで使用するオイルには環境に優しい天然素材を選び、レストランでは通常廃棄される食材をスープに活用するなど、多角的なアプローチで持続可能な社会の実現に貢献している。