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フードロス大国の真実とエコな暮らしの最新保存術-世界で10人に1人が飢えるのに…なぜ日本は「年間523万トン」の食料を捨てるのか?

あなたの「もったいない」が地球を救う

現在、世界では人口の約10人に1人にあたる8億人以上が飢餓に苦しんでいると言われています。その一方で、フードロス(食品廃棄)は世界的な課題として深刻化しており、特に経済大国である日本はその「フードロス大国」としての側面を強く持っています。

日本国内では、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品、すなわち食品廃棄の量が年間で約523万トンにも上ります(農林水産省・環境省調べ)。これは、国民一人当たりがおにぎり約1個分を毎日捨てている計算です。

「飢餓人口は増え続けているのに、なぜ日本はこんなにも大量の食料を捨てているのか?」

この矛盾は「知らなければならない痛点」ではないでしょうか。

本記事では、このフードロスという構造的な問題の真実を深く掘り下げ、食料危機との関連性、そしてなにより、家庭で今すぐ実践できる食品保存術までを網羅的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたのキッチンでの行動が、地球の未来を変える一歩になるはずです。

フードロス大国・日本の知られざる真実
世界で10人に1人が飢えるのに…なぜ日本は「年間523万トン」の食料を捨てるのか?知られざるフードロス大国の真実とエコな暮らしの最新保存術_フードロス

世界の「食料危機」と日本の「食品廃棄」のパラドックス

世界の食糧システムは、気候変動や紛争、パンデミックなどの影響を受け、非常に不安定な状況にあり、食料危機はもはや他人事ではありません。

日本は食料自給率が低い(カロリーベースで約38%)にもかかわらず、なぜ大量の食品廃棄を行うのでしょうか。このパラドックスの背景には、日本の「過剰な品質要求」や「商習慣」が大きく関わっています。

  • 3分の1ルール: 納品期限を賞味期限の3分の1に設定するなど、世界的に見ても非常に厳しい商習慣により、まだ十分食べられる商品が流通から外れてしまいます。

  • 家庭での廃棄: 食べ残しや、冷蔵庫での期限切れ、過剰な買い込みなど、私たち自身の行動も大きな要因となっています。

企業と家庭、それぞれのフードロス発生源

日本の年間523万トン(2021年度推計)の食品廃棄は、大きく「事業系」と「家庭系」に分けられます。

区分廃棄量(年間)主な発生源
事業系約279万トン食品製造業、外食産業、小売業など
家庭系約244万トン各家庭(食べ残し、手つかずの食品など)

特に家庭系の244万トンは、私たち一人ひとりの行動で最も削減しやすい部分です。フードロス削減は、企業任せではなく、私たち消費者自身の問題として捉える必要があります。

フードロスが地球環境に与える影響
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食品廃棄がただの「もったいない」では済まされない深刻な環境問題であることは重要です。フードロスは、エコな暮らしの実現を妨げる大きな要因となっています。

「もったいない」では済まされない!廃棄が加速させる温暖化

食品を生産し、加工し、輸送し、そして廃棄するまでの全プロセスで、多大なエネルギーが消費され、温室効果ガスが発生しています。

  • メタンガス発生: 廃棄された食品が埋立地で分解される際、二酸化炭素の約25倍もの温室効果を持つメタンガスが発生し、地球温暖化を加速させます。

  • 水資源の浪費: 食べ物を捨てることは、その食品を育てるために使用された水資源(ヴァーチャルウォーター)を同時に捨てることになります。

  • カーボンフットプリント: 食品のライフサイクル全体で排出される温室効果ガス(カーボンフットプリント)を減らすためにも、フードロス削減は最も効果的な対策の一つなのです。

今日からできる!「エコな暮らし」を実現する食品保存術世界で10人に1人が飢えるのに…なぜ日本は「年間523万トン」の食料を捨てるのか?知られざるフードロス大国の真実とエコな暮らしの最新保存術_食品保存術

私たちのエコな暮らしへの意識が、家庭でのフードロス削減に直結します。冷蔵庫の整理や買い物の仕方を見直すことはもちろん、食材を長持ちさせる保存術を知ることが鍵となります。


【地球にやさしく】使い捨てゼロを目指す!「保存の3種の神器」エコな代替品

フードロス削減は重要ですが、そのために使い捨てのプラスチック製品を多用することは、エコな暮らしを目指すうえで矛盾が生じます。そこで、環境負荷を低減しつつ高い保存効果を得られる「エコな代用品」を積極的に活用しましょう。

元のアイテム
(3種の神器)
エコな代替品エコな理由と活用法
ラップ蜜蝋ラップ/ 布(手ぬぐい)【再利用可能】 数百回繰り返し洗って使えます。
【通気性と密着性】 ほどよい通気性で野菜を「呼吸」させつつ、手の熱で密着させて乾燥を防ぎます。
【活用法】 カット野菜、半分に切った果物、お皿の蓋に最適です。
ジッパー付き保存袋シリコン製保存容器(バッグ型/ボックス型)【高耐久・高密閉】 耐久性が高く、冷凍・冷蔵・加熱(レンジ・湯煎)にも対応。
【繰り返し利用】 食洗機で洗え、清潔に繰り返し使えます。
【活用法】 肉や魚の一回分冷凍、マリネ、スープの保存など、多用途に使えます。
アルミホイル/使い捨てアルミトレー ホーロー容器
【急冷効果】 金属製で熱伝導率が高いため、冷蔵庫や冷凍庫に入れると庫内の冷気を早く食材に伝え、急速冷却・冷凍効果が期待できます。
【直火調理も可能】 調理から保存まで一つで完結できるため、洗い物や手間が減り、水道水の節約にもなります。
【活用法】 下味をつけた肉や魚の冷凍、ご飯の冷凍保存に最適です。

野菜・肉・魚が劇的に長持ちする!「保存の極意」

食材を捨てる最大の原因は「鮮度落ち」です。上記のエコな代替品や適切な道具を駆使することで、食品廃棄を大幅に減らすことができます。

食材捨てる原因エコな保存術の実践例
葉物野菜水分の蒸発、
しおれ
冷蔵保存: 濡らした布やキッチンペーパーで包み、ポリ袋(またはシリコンバッグ)に入れ、立てて保存。
肉類酸化、
冷凍焼け
冷凍保存: 一回分ずつシリコン製保存容器ホーロー容器に入れ、空気を抜き密閉。アルミバッドホーロー容器に乗せて急速冷凍し、冷凍焼けを防ぐ。
魚介類臭み、酸化冷凍保存: 塩水で洗って水分を拭き取り、シリコン製保存容器で空気に触れさせないよう密閉。
きのこ傷みやすい冷凍保存: 石づきを取り、カットしてそのままシリコン製保存容器に入れて冷凍(旨味もアップ)。

肉や魚を冷凍する際、アルミバットや金属製のホーロー容器は熱伝導率が高いため短時間で凍り、細胞破壊を防いで鮮度と旨味を保つことができます。これは、フードロス対策に最も効果的な保存術の一つであり、繰り返し使えるためエコな暮らしにも貢献します。

参考:腐らせないための各野菜の保存術

蜜蝋ラップを繰り返し使うための正しい使い方

蜜蝋ラップは、適切に使えば1年以上繰り返し使える優れたエコなアイテムです。長持ちさせるためにも、以下の用途で活用しましょう。

用途推奨度理由
カット野菜・果物新鮮さを保ち、乾燥を防ぐ。
パン・お菓子適度な通気性があり、乾燥を防ぎつつ蒸れにくい。
チーズ呼吸を妨げず乾燥を防ぐ。
ボウルや皿の蓋冷蔵庫で簡単に密閉できる。
調理済みの残り物加熱済みのため生肉ほどの衛生リスクはないが、頻繁な使用は避ける。
生肉・生魚交差汚染のリスクが高く、推奨されない。

また、好きな大きさや柄で作れるので、自分で手作りすることもおすすめです。
参考記事:たった10分で誰でもできる!地球にやさしいエコ活動
     ものすごく便利!自作のエコラップで脱プラしよう!

賞味期限と消費期限の正しい理解と「見切り品」の賢い活用術

食品廃棄の多くの原因は、「賞味期限」と「消費期限」の勘違いにあります。

  • 消費期限: 期限が過ぎたら食べない方がよい目安(主に生鮮食品など、急速に品質が劣化するもの)。

  • 賞味期限: おいしく食べられる目安であり、期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない(主に加工食品など)。

賞味期限が切れたからとすぐに捨てるのは、フードロスの大きな原因です。自分の五感(匂い、色、感触)で判断し、自己責任で賢く消費しましょう。また、スーパーの見切り品は、鮮度には問題ないが期限が近いだけの「地球に優しい」商品です。積極的に購入し、即座に適切な保存術(冷凍など)を施すことで、エコな暮らしに貢献できます。

まとめ:私たち一人ひとりの行動が「食の未来」を変える
世界で10人に1人が飢えるのに…なぜ日本は「年間523万トン」の食料を捨てるのか?知られざるフードロス大国の真実とエコな暮らしの最新保存術_賞味期限

フードロス問題は、世界的な食料危機と地球環境問題に密接に関わる、複雑で巨大なテーマです。しかし、裏を返せば、私たち一人ひとりのキッチンでの小さな意識の変化と保存術の実践が、最も直接的に解決に貢献できる問題でもあります。

【あなたの行動がもたらす変化】

  1. 経済的メリット: 無駄な出費が減り、家計が改善します。

  2. 倫理的メリット: 世界の飢餓問題への貢献意識が高まります。

  3. 環境的メリット: メタンガス排出を減らし、エコな暮らしを実現します。

フードロス大国という不名誉な現状を脱却し、豊かな食文化を未来につなぐために、まずは冷蔵庫の中身チェックと、本記事で紹介した保存術の実践から始めてみましょう。

📚 参考URL

・農林水産省:食品ロスの現状と対策について
・環境省:食品ロスの削減・リサイクル

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編集部

TSUNAGOOD編集部です。サイト編集・運営を担当しています。

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