SDGsを学べる本【あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣 】
今、地球上で起こっている環境問題や貧困・紛争などの社会問題を学べる一冊を紹介します!
YouTubeをはじめ、各種SNSやオフライン講義でも発信している「フリーランス国際協力F師」の原 貫太さんが書かれた【あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣 】です。
この本は「世界の問題と自分たちの繋がり」をテーマにしており、SDGsの問題は私たちの生活の延長線上で起こっているということを伝えてくれています。
私は環境活動を始めた3年前より、原さんの動画を見て「こんなこと知らなかった・・・」と様々な知識を教えてもらいました。
この本は6章に分かれて書かれているので、それぞれの章の内容を簡単に要約します。
ぜひSDGsをもっと身近に捉えるきっかけになれれば嬉しいです!
1章.アフリカへの見方が変わる
まだ、先進国のようにアフリカ大陸の自立がなかなか進んでいません。
その背景には、さまざまな要因が影響を及ぼしていますが、その中でも以下の点が重要な理由とされています。
それは【善意の寄付が経済的自立を奪っている】から!!
善意の寄付に頼る状況が持続することで、アフリカの人々の経済的な成長や自立の機会を奪ってしまうことがあります。
無計画な支援や寄付が、現地の経済や社会構造に深刻な歪みが生まれ、持続可能な発展が阻害されることがあるのです。
アフリカの人々が自らの力で立ち上がろうとする意思を尊重し、その自立をサポートすることが重要です。
老子の格言で「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべき」と伝えている言葉があります。
単なる援助だけでなく、知識やスキルを共有することが本当の自立を支援する方法で解決しなくてはなりませんね。
2章.食品ロスじゃなく衣服ロス
衣服にまつわるロスも、食品ロスと同様に大きな社会問題となっています。
特にファストファッションにより、大量生産大量消費が進み、環境や労働者に対する影響が深刻化しているのです。
大量の衣服が生産され、使い捨て的な消費が増加する要因となり、発展途上国での劣悪な労働環境や貧困問題が浮き彫りになりました。
2013年のラナプラザ崩壊事故は、アパレル産業における労働者の安全や人権に対する問題を象徴する出来事として挙げられます。
また、アパレル産業は環境問題にも影響を及ぼし、水やエネルギーの大量消費、廃棄物や化学物質の排出も問題になっているのです!!!
特に染色や加工過程における水質汚染の問題は深刻であり、環境への負荷を考える必要があります。
衣服ロスの問題には、私たち消費者側にも責任があります。
私たちは衣服の消費においても、環境や社会への配慮を持ち、積極的な行動を取ることが求められているでしょう。
3章.肉を食べると水不足になり、やがて戦争へ?
肉の生産には多くの水が必要であり、その過程で様々な問題が発生します。
一つの課題として、家畜の餌のために広大な土地を使っていることが挙げられ、牛や豚などの家畜のために、大量の穀物や大豆を育てる膨大な面積の農地が必要となります。
これにより、水の消費量も増大し、地域ごとに水不足が悪化する可能性があり、さらには畜産業の拡大が森林破壊を引き起こすことも問題とされているのです!
森林は地球の水循環に重要な役割を果たしており、畜産業のために森林が伐採されることで、水源の維持が難しくなることがあります。
2030年には水に関連する紛争が増加する可能性があると指摘されており、水不足が深刻な影響を及ぼすことが懸念されているのです。
私たちの食習慣が地球の水資源にどのような影響を与えるか、真剣に考えて行動することが求められています。
4章.スマホと紛争
スマートフォン(スマホ)は私たちの生活に欠かせない存在となりましたが、その背後には様々な複雑な問題が絡み合っています。
関連記事:希少金属が豊富な国なのに最貧国。資源を使う先進国が考える事とは
スマホの製造には金属資源(レアメタル)が必要であり、これによって一部の地域では資源の過剰な採取が紛争の原因となることもあります。
このような紛争地域では、レイプや武装勢力による性暴力など、人権侵害が深刻な課題もあるのです。
スマホの普及が社会にプラスの影響を与える一方で、紛争地域では悪用される可能性もあることを忘れてはなりません。
さらに、児童労働にも問題が起こっています。
このような問題を考える上で、関心を持つこと以上に関心を持ち続けることが大切です!!
スマホが私たちの生活を豊かにする一方で、その影響が及ぶ範囲や側面を適切に理解し、持続可能な未来を考える努力が求められています!
5章.データ(数字)で正しく理解する
私たちは多くの情報をテレビやSNSで得ることができますが、そのままの内容を鵜呑みにしてはいけません!
例えば「貧困なのにアフリカではなぜたくさんの子供を作るのか?」という問題に、データ数字で見ると「出生率は経済成長に伴って激減している」ということが分かります。
一般的に、経済の発展とともに出生率が低下する傾向がデータとして明らかになっているからです。
私たちの世界は、0か100かで語れるほどシンプルではなく、複雑な要因が絡み合っています。
重要なのは、2つに分けて考えるのではなく、その間には無限の思考があるということです。
よって、メディアなどの一部の情報に惑わされず、情報を幅広く収集し、複雑さを理解する努力が大切です。
この本のタイトル通り「世界を正しく見る」姿勢を持つことが重要となり、データ(数字)を通じて真実を探求し、一つの側面だけでなく多面的な視点から物事を捉えることが、正しい理解を深める一歩となるでしょう。
6章.日本も貧困?絶対的貧困と相対的貧困の違い
一見すると、日本は発展した経済国家のように見えるかもしれませんが、その裏には様々な要因が絡み合っています。
アフリカのように、必要最低限の生活水準が満たされていない「絶対的貧困」。
そして、世帯の所得がその国における所得の中央値の半分に満たない「相対的貧困」の区別に分かれており、日本で特に深刻化しているのは、離婚後のシングルマザーが直面する相対的貧困です。
収入格差によって個々のスタートラインが大きく異なり、チャンスの均等性が問われています。
日本の貧困は、外からは見えにくい状態になっています。
この一方で、恥ずかしさや我慢することが美徳とされる側面もあり、人に頼ることができずに苦しい状況の家庭も多く存在しているのです。
現に、子ども食堂などの支援施設が年々増えてきていますね。
貧困問題は多面的な要因がからみ合っており、単純な解決策は難しいですが、社会全体での意識改革や政策の見直しが必要です。
相対的貧困に苦しむ人々が、恥ずかしく感じずに支援を受けることができる社会の構築が求められています。
まとめ
今回は、原貫太さんの本を紹介しました。
SDGsも、表面的に捉えて考えてしまっては、目先の利益や偏った思考に惑わされて本質を見失ってしまいます。
だからと言って、何もできない(やらない)のではなく、自分ができることは何があるか、そして自分と関係していることと認識を持ち、解決に向けて目を向けるようにしていきたいですね。