地球の循環システムで暮らす アースシップ体験
近年、世界中で異常気象がいたるところで起き、
電気、ガス、水道などのインフラが使えなくなるというニュースを目にします。
コロナをきっかけに都会から地方移住する方、
いざというときの備えに、自給自足に興味も持つ人も多いのではないでしょうか。
地球環境のことを考えてもできるだけ無駄な資源を使わないように、
自然と共生する生活に切り替えていくタイミングがきているのかもしれません。
そこで、これからの暮らしとして、公共のインフラ(水道・電気・ガス)を
使わないオフグリッド生活が参考になるのではないかと、
日本初の自給自足する家、アースシップを体験できるゲストハウスに行ってきました。
自然エネルギーの暮らしを体験できる、Earthship MIMA
場所は徳島県の美馬市。香川県との県境で、
標高600mに位置しています。
いくつもの山に囲まれて、一面が緑、緑、緑。
天気のいい日は霊峰・剣山の姿も眺められるとか。
アースシップ(earthship)は世界では1500棟以上建てられていますが、
日本では、まだここEarthshipMIMA1軒のみ(2022年6月現在)。
アースシップの考案者であるアメリカの建築家・
マイケル・レイノルズさんに依頼して、2019年にゲストハウス兼住宅として建てられました。
宿泊すると、アースシップの構造や機能について説明してもらえます。
アースシップの特徴
・雨水ですべてまかなう
水は雨水を循環、ろ過させて飲料水、生活用水にも利用。
6トン分を貯水できます。
▲北側が半地下。雨を集めるられる屋根。
・エアコン不要
電気は、ソーラーパネルから蓄電。
室内の温度が年中ぼぼ21℃に保たれる構造で
エアコンはついていません。
冬は雪が積もって寒く、21℃にならないこともあるようですが、
練炭ストープ1つあればいいのだとか。
・建築資材には廃材
▲壁に埋め込まれたピンは明り取りにもなっている
車の廃タイヤを800本。
空き缶、空き瓶も大量に壁に使用されています。
集める苦労があったようです。
廃タイヤはトラックなどに使うワイヤーが入った大きなタイヤを使用し、
これに土を詰めて壁を作っていくことで、空気の層ができて
蓄熱材、排熱の効果があるそうです。
寝室側の部屋は、半地下で壁の外側は土です。
・効率的な浄化システム
南側が大きなガラス窓で太陽熱を効率的に取り込んでいます。
ドイツのパッシブハウスと同じ構造ということ。
窓のすぐ下に植物が栽培され、ここが水を浄化する地層システムになっています。
排水に含まれる養分を吸収する役目もあり、
浄化された水が、外へ排水されます。
▲人工的な地層システムが家の中に。
・おしゃれで快適
外観はおとぎ話にでてきなそうなデザイン、内装も木としっくいの白の壁の組み合わせがナチュラルでおしゃれ。
大きな窓は外にいるかのように景色が見えて、自然との一体感もいいです。
トイレは水洗トイレ、冷蔵庫も使えます。
都会で暮らしている人も問題なくなじめます。
・ワークショップを兼ねた建築方法
建て方も特徴的で、アースシップ建築のノウハウが学べるワークショップを1か月開催しながら、
参加する人が建築します。
ここEarthshipMIMAは、Earthship Biotecture社の日本における正式なエージェントとして
認定されており、建設の依頼や建設に関わる相談の窓口にもなっています。
マイケル・レイノルズさんによると、世界各地で環境に違いがあり、日本で初めて建てたため、
「実験と思ってください」といわれているとか。
また、国内の建築基準法や都市計画用途地域などにより、場所によって建築できるものに制限があるため、
専門家の確認は必要になってきそうです。
住まいが変われば地球が変わるかも?
EarthshipMIMAのある周辺は、自然豊かですが、周囲に民家があり、車で10分ぐらいのところに
スーパーやコンビニもあり、高速道路のインターチェンジも近いです。
自給自足できる家、といっても山奥で誰にも会わないような場所にあるわけではありません。
都会では難しいかもしれませんが、
これから建てられる家の基準がこのような自給自足できる家に変わっていけば
地球が本当に変わっていくのでは・・・と思えました。
実際に1泊してみると、周りの環境もありますが、
疲れもすっかりとれて、目覚めがとても快適でした。
自然と一体化すると人も元気になると思います。
私たちの暮らしは「家」が大きな要素を占めています。
サステイナブルな暮らしについてみなさんはどう思われるでしょうか?
<参考>
EarthshipMIMA ホームページ
https://www.earthshipmima.com/
Earthshipについて説明動画