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ハワイが全米トップの環境先進州を目指す理由

日本人が愛してやまないワイキキビーチやダイヤモンドヘッドを擁するハワイ州。

人口142万人と沖縄県より少ないハワイが、じつは全米トップクラスのエネルギー政策を走っているのをご存じでしょうか?

水面上昇で住む場所がなくなる恐怖、石油や火力発電に依存する脆弱さ、観光地のエネルギーをクリーン化する動機が大きく関係しています。

今回は、自然の恵みを活用したハワイ州の環境対策を紹介します。

2045年までに再生エネルギー100%達成を

2045年までのカーボンニュートラルを目指し、2018年にハワイ州で使用される電力を100%再生エネルギーで賄う法律を、全米で初めて制定しました。

すでに太陽光、風力、地熱、バイオ燃料といった自前のエネルギー供給を実施済みで、今後は洋上風力発電や潮力発電も開発中です。

また、一戸建てに住む電力消費者が自宅やビルに太陽光発電を設置すると、税控除が受けられます。また、2018年には集合住宅に住む人向けの「コミュニティソーラープロジェクト」を発足。こうした取り組みのおかげで、全世帯の1/3が自家発電を自宅に備える環境が整備されました。

■ワイキキ周辺の運輸セクターを脱炭素化

観光業が主な収益源のハワイは、ホノルル空港周辺の交通渋滞も大きな課題でした。
自家用車以外の観光バスはディーゼル車かガソリン車が多く、空気汚染の悪化に拍車をかけて来ました。

こうした背景を元に、温室効果ガスを排出しない、ガソリン高騰に影響を受けない環境に優しい交通手段として、環境車に乗る人が増えています。

現在ハワイでは、ハイブリット車や電気自動車の普及が進み、人口一人当たりの導入率はカリフォルニア州に続く2位です。

自宅への太陽光発電の導入も進み、広くない島内を走るには十分だと言います。

また公的交通機関の充実も解決策の一つですが、現在ホノルルからアラモアナセンターにかけての電車を建設中です。

パールハーバー西側の再開発区域に加えて、空港からのワンマイルエリアの足が整備されると、空気汚染も改善される見込みです。

四方を海に囲まれたハワイは、どの州よりも海面上昇や干ばつ、洪水といった気候変動の影響が深刻です。

先日米国で初となる「気候変動緊急宣言」を発表したばかりですが、美しい自然と人々の暮らしを守る環境政策に今後も注目です。

備考:
https://grist.org/politics/hawaii-is-the-first-state-to-declare-a-climate-emergency/

    Kazuki

    米国・ニューヨーク州在住の環境ライター/3児の母。好きなコトバは「人生は美しい。人生は甘美だ」(ブッダ)。知るために、書く。書いて、つながる。がモットーです。

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