SDGsの環境対策のお手本の町は「江戸」?
SDGsで目指す循環型社会にとって大きな課題がゴミ問題。「12.つくる責任 つかう責任」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」に関わり、分解できないプラスチックゴミ、過剰生産から起こる廃棄ロスなどの取り組みが取り上げられるようになってきました。この「ゴミ」という概念がない循環型社会としてエコな暮らしのお手本になっているのが江戸時代といわれています。
人口100万人が住み、ゴミが少ない、きれいな町だったという大都市「江戸」。
今、自然環境対策として、政府も推進していている3Rリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)(スリーアール)が行われていました。
リデュースは、物を大切に使い、ごみを減らすことで、必要のないものを買わない、買い物にはマイバッグを持参するなどのこと。
リユースは、繰り返し再生利用することで、詰め替えできる容器を選んだり、フリーマーケットやバザーなどのこと。
リサイクルは、形状を変えて再度利用することで、再生紙やペットボトルから作るフリースなどが該当します。
貴重な資源として何に使えるか。をヒントに
江戸時代はほとんどが国内生産。エコのための暮らしではなく、貴重な資源を大切に使っていました。リデュースが当然になっていたといえます。
リユースやリサイクルは最後の灰になってまでも行われていました。
衣服は、木綿や絹など天然素材から作り、庶民のほとんどは古着屋を利用し、古着が古くなると、子供用の着物、赤ちゃんのおしめ、ぞうきんにして、最後はまきとして燃やし、残った灰を畑の肥料として使いきります。灰の買い取り、ろうそく立てについた「ろう」の買い取りもありました。
製紙品はすき返してさまざまな再生紙にし、トイレットペーパーとして使用済みの紙も買い取り、また再生したといいます。
排泄物も貴重な肥料となる「商品」。長屋に住んでいる人の排泄物の所有権である大家さんにとって、排泄物は大きな収入源。江戸後期になると肥料として回収することを目的に、公衆トイレも設置されたといます。
修理では、金属製品修理の「いかけ屋」、陶磁器を修理する瀬戸物の「焼き接ぎ屋」、木製の桶や樽のたがを修理する「たが屋」など各分野の専門職人がいました。
捨てるものに注目するアイデア
またお米は、食べるだけでなく、稲わらをあますところなく活用。わらで草履や縄を作り、「ぬか」は漬物、石鹸にも利用。家畜の飼料、畑の肥料にもなり、捨てるところなく使っていました。
260年続いた江戸時代は、モノがなかったとはいえ、絵画や演劇などの文化や学問が広がった時代。エコな暮らしは経済成長率がのびないといいますが、江戸時代からヒントを得て「ゴミ」にしない持続可能な社会を実現したいものです。