「持続可能」な壁、ドライストーンウォール
先日、湖水地方へ行ってきました。ドライブをしていて、いたるところで見かけたのは石でできた壁、「ドライストーンウォール(Dry Stone Wall)」です。
ドライストーンウォールは、石を積み重ねて作られる壁の一種です。石同士をモルタル(接着剤)やセメントなどで固定せずに、石自体の重さとバランスを利用して構築されているそうです。このため、「ドライ(Dry)」と呼ばれています。
一般的に、ドライストーンウォールは農村地域や自然環境に溶け込むような景観を作り出すために使用されます。
ドライストーンウォールの特徴は、石の重さとバランスに頼る構造です。
ドライストーンウォールでは、石同士が重力によって互いに支え合うことで壁が構築されます。モルタルや接着剤は使用されないため、石同士のバランスと固定力が重要です。
適切に構築されたドライストーンウォールは非常に丈夫で耐久性があります。石同士が相互に支え合うため、地震や自然災害に対しても強い壁となるのです。実際に、昔作られた壁が今も多く残っています。
また、通気性と排水性に優れています。
ドライストーンウォールは石同士の隙間があるため、空気や水分の循環が可能です。これにより、湿気や水の滞留を防ぎ、壁の劣化を防ぐことができます。雨や曇りの日が多いイギリスにはぴったりの構造です。
そして、環境にも優しいのです。
ドライストーンウォールは、石と重力のみを利用して構築されるため、環境に負荷をかけず、持続可能な建築の一例と言えます。また、石は自然素材であり、再利用やリサイクルが可能です。
ドライストーンウォールは、風景や文化的な景観の一部として多くの場所で見られます。
特にイギリスやアイルランドなど、歴史的な建築物や田園風景の特徴として広く知られています。自然の景色に溶け込んでいて、とても美しいのです。
現代にこの技術を再現するのはとても難しいそうですが、湖水地方の街なかでは、ドライストーンウォールを取り入れて、周りとの調和を保とうとしている住宅も見かけました。
わが家もいつか、このドライストーンウォールで家の周りを囲みたいと夢見ています。